育児の悩みは尽きなく、またその内容はあまりに多様で、誰かと共有することすら難しいと感じて「子育て世代」は多いのではないだろうか。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、育児の悩みについてこう話す。
「乳幼児期の育児の悩みでは、夜なかなか寝ない、夜間の授乳がつらい、夜泣きが大変など、睡眠や夜間に起きるトラブルが多く聞かれます。中にはこのままこのつらさがずっと続くのではないかと悲観してしまう方も…。
悩みを聞いてくれる相手がいないときは、自治体などの「相談窓口サービス」を活用するという手もあります。使えるものは何でも使って、孤独に陥らないよう注意してくださいね」
今回は、「かつて乳幼児期にあったわが子が驚くほど寝つきが悪く、また睡眠時間も短かったため、育児の悩みが尽きなかった」とのご経験をお持ちの女性に取材することができた。大きくなったお子さんの今の様子も含め、リポートする。
「うちの息子は現在小学校5年生です。生まれたその日から、とても激しく泣く子でした」
こう話すのは、41歳の会社員吉永瑠璃花さん(仮名)。
「周囲のママさんから、生後数ヶ月経って熟睡してくれるようになったとか、朝までしっかり寝てくれるようになったといった話を聞くたびに、え?そうなの?と驚いていましたね」
瑠璃花さんの長男は、生後10か月になっても小刻みに起きては泣き、1歳を過ぎ2歳近くになっても、夜早くに寝て、朝まで熟睡することはなかったという。
「とにかく全然寝てくれませんでした。夜8時に寝室へ寝かしつけに行き、添い寝して背中をトントンしたり、抱いてゆらゆらしたりしても、目はらんらんとしていました」
2時間、3時間と隣にいたり、抱っこしても、まったく寝る気配を見せなかった当時の息子。
「深夜1時とか2時に、ようやく寝たかと思って忍び足でリビングへ向かいました。やっと自由な時間だ。お茶を入れて、録画してたテレビを観られる!とはやる気持ちを抑えて」
育児期間はあまりに大変すぎて、幸せを感じるハードルが下がっていたと話す瑠璃花さん。ほんのちょっとの休憩が、旅行やレジャーに行くほどの楽しみに感じられたそうだ。
「でも、すぐにその喜びは打ち砕かれます。ものの10分くらいで、寝室から息子の泣き声が聞こえてくるんです」