日本産科婦人科学会によると、2021年に体外受精で生まれた子どもが過去最多の約7万人だったという。出生数が減少するなか、生まれてきた子どもの11人に1人が体外受精児という計算になる。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、不妊治療についてこう話す。
「少子化に歯止めがかからない危機的状況の日本において、不妊治療は希望の光となるはずです。が、実際は精神面や金銭面での負担が大きく、働く女性にとっては、我慢を強いられる場面も多いのです。
ただ、2022年4月から開始された「不妊治療の保険適用」は子どもを望む多くの女性にとって朗報になりました。いくつかの要件はあるものの、うまく活用していくことをおすすめします」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今回は、仕事と両立しながら不妊治療に取り組む女性に話を聞いた。
「まさか自分が不妊治療をすることになるとは思いもしませんでした。私自身、三姉妹の末っ子で子どもが産まれやすい遺伝を持つ家系だと思っていましたし、女性検診で引っかかったこともありませんでした。」
こう話すのは約3年に渡り体外受精に取り組む、39歳OLの佐々木京子さん(仮名)。
まず最初に、不妊の定義とは「妊娠を望む健康な男女が避妊をせず性行為をしているにも関わらず、一定期間妊娠しないもの」を言う。
治療のレベルも様々で、タイミング法や人工授精、体外受精(顕微授精)などがある。
体外受精の場合は、採卵手術により体内から取り出した卵子と精子を受精させたものを、子宮内に戻す胚移植が行われる。
不妊の原因は男性女性半々と言われており、わかりやすい自覚症状が現れにくいため、京子さんと同じように「まさか私が」と思っている女性も多いかもしれない。
でも、いざ病院に行ってみると待合室の混み具合にビックリして、不妊治療を受けている人の多さに衝撃を受ける人が多いという。