「我が家の近くの道路は、交通量が多い割に車幅が狭いんです。バスもたくさん通るので、かなり混み合っているんですが、その車道をくねくねすり抜け運転している電動キックボードを本当によく見かけます」。
特に怖いと感じたのが、ひらひらとしたスカートを履いた女性だったという。
「風になびくスカートが、すり抜けるたびに車に触れるんですよ。もし引っかかったりしたら…と最悪のことを考えてしまいました。ご本人たちはまるで気に留めていないようですが、見ている方はかなりヒヤヒヤします。男性でもコートがバタバタと揺れているのを見たことがあります。乗車の格好についてまでは、どこにも明記はされていませんが、最低限車などと触れないような服にするなど、モラルってもんがあるだろ?と思ってしまいますね…」。
さらに、車道と歩道を行ったり来たりしながら運転する輩もいるらしい。
「自転車も同様ですが、自分たちが車に乗っているという自覚が本当に薄いんですよね。歩行者とぶつかりそうになる距離でも原則なく、ぐいっと進んだりする姿を見ていると本当に怖いですし、怒りが沸くこともあります」。
とにかく、恐ろしいと語る保さん。実は娘と孫が一度、接触事故に巻き込まれたんだという。
「幸い大怪我にはなりませんでしたが、歩道を歩いていた娘のカバンに電動キックボードのハンドルが引っかかってしまったんです。それくらい至近距離で運転していたと思うと本当に怖い。スピードはさほど出ていなかったようで、よろけて倒れただけですみましたが、膝を擦りいてしまって…。その後の用事にも遅れるなど、散々だったと聞いています。しかも…」。
相手はさほど悪いとは思っていないようだったというのだ。
ーあぶねーなー。
そう吐き捨てられたのだというから驚く。
「正直、レベルが低いと言わざるを得ませんよね。乗っている人全てとは言いませんがレベルの低い人たちが多くなると溜まり場にもなりかねません…」。
そんな電動キックボードに異議を唱える保さんをさらなる不幸が襲う。
「隣の家が自宅の一角を電動キックボード置き場としてレンタルし始めたんです。家の周りの治安が一気に悪くなりました…」。
深夜のうるささが半端じゃないらしい。【後編】では、その実態を追う。
取材・文/悠木 律