総務省が発表している「我が国における家事関連時間の男女の差」のまとめによると男女別の家事関連時間に費やす割合は、圧倒的に女性の方が高い。2016年と2021年を比較すると男女差は縮まっているものの同等とはいうには程遠い。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「調査書ではアメリカも家事関連時間に男女差はあるもののその差が日本より少ないことも指摘されていました。徐々に差は縮まりつつありますが、内情はまだまだといったところでしょうね」。
育休を取ることもままならない男性に対して、女性が育休を取り、子育てすることは当たり前とされる。これが日本の現実だ。
「過渡期とも言えますが、これに対して共働きの率はどんどん上がっています。もちろん家事育児を積極的に行っている男性もいるでしょう。ただ、実情はまだまだというところなのではないでしょうか」。
今回はそんな家庭内の家事比率に関して、モヤモヤするというある女性に話を聞くことができた。
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野田涼さん(仮名・46歳)は、思春期の子供と6歳年上の夫と4人で東京に暮らしている。もちろんワーママだ。
「持ち家ということだけで世間から見たら我が家はそこそこお金があるように思われているみたいですけど、実際はカツカツです。長男は私立高校、長女は公立中学に通っていて、家のローンと学費、塾代、生活費、貯金と楽できる感じはありません。2人合わせて年収は1000万円にやっと届くくらい。何も知らなかったときは年収1000万円って、超お金持ちだと思っていましたが現実はそうでもありません。税金もすごく高いですし、東京は物価も高い。去年までは子育ての女性も出ないし、1番割に合わない…」。
これが東京リアルだ。
「パート仲間は子どもが大きくなるタイミングで、みんな派遣、正社員への転身を図っています。もちろんバリキャリの人もいますし、専業主婦の人もいますよ。でもそれってマイノリティ。実際、子育てしながらバリキャリを貫くには、夫の協力はもちろん、親なりシッターなり誰かの手が必要だと思いますね」。
涼さんの家庭も家事育児は、基本ワンオペだ。夫と家事の分担について話し合ったことはない。
「今でこそ、分担とか言いますが、18年前はまだまだそんな文化がなかったですね。送り迎えをしているのも母親ばっかりだったし、今とは別世界。当たり前のように夫はそのままの働きを維持し、私は時短勤務を選んでいました。結局はいづらくなってしまって、やめてパートに。もっともっと夫と働き方について相談すべきだったと後悔ばかりが募ります」。
そんな涼さんも2年前までパートで働いていた。
「税金のことを考えるとそれが1番、良いと思ったんです。それに1人で子育ても家事もすべて請け負って、外で限界まで働くのは現実的にかなり厳しくて…。でも、だんだんそれでいいのかな?って思うようになりました。大きくなるにつれて、子どもの面倒を見る時間がどんどん減っていきます。その途端にすごい虚無感が…。このままパートで人生終えてもいいのかな?って。そこで夫に相談したんです。正社員として働きたいって。そうしたら、なんて言ったと思います?」。
ー家のことを今まで通りできるなら、いいんじゃない?