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「翻訳アプリで、泣きながら指導…」教師が匙を投げている「日本語がわからない子に教える」無理ゲーの実態。

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週に一度、町内施設において、日本語指導員(町費雇用)による個別指導が行われている市町村もあれば、初期日本語・適応指導教室を教育委員会に設置し、域内の日本語指導が必要な児童生徒が通級を行うという対策を行っている市町村もある。

市国際交流協会と連携し、日本語サポートのボランティアに授業の入り込みや通訳等、依頼しているもあるが、そういった対策や対応は主に小中学校の義務教育段階までしか利用できない。

高校ともなると一気に手薄になる。高校進学ができたのだから、もう日本語指導は必要ないだろうという発想なのだろうか。

高校にも手厚い対応をということで、高校における日本語指導を制度化しようという案がようやく出されたのは昨年のことだ。

今回は、外国籍を持つ児童・生徒への日本語指導に追われる現場の教員三人の声を伝えていく。

・・・・・・・・・・・・・・・

「正直言って、昨年出された案については遅いと思いました。

だって高等学校における日本語指導が必要な生徒の在籍がどんどん増加しているんですよ。
平成30年度の文部科学省の調査によると、公立高校に通う日本語指導が必要な生徒は4千人を超えている。これは10年前の2.7倍なんですよ!」

そう叫び声をあげるのは関西の公立高校に勤務している夏子さん(仮名)40歳。彼女は国語を教えており「国語の教師だから」というだけの理由で、学校にいる日本語指導を必要とする生徒の日本語指導を任されている。

「その分授業時間を2時間だけ減らしてくれるといわれて、かなり抵抗したのですが、引き受ける先生が誰もいなかったので、引き受けました。だって引き受ける人が誰もいなくて困るのは子どもたちでしょ?

自信はまったくありませんでしたけど、引き受けてくれる先生は誰もいないから、あなたたちは自分でなんとかしなさいなんて、そんな酷なことは言えませんもの」

そう話す夏子さんは、見るからに疲れ果てている。

「私が勤務する学校には、それぞれインド、ドイツ、中国から来た生徒がいます。母国語は全員違うのですが、全員英語が少しできるので、英語の先生にも協力をお願いしました。でも、『忙しい』と言って嫌がられることが多くて……。

半べそをかきながら、放課後にアプリをつかって教えてます。もう本当に泣きそうです」

協力が欲しくても、同僚教員からの理解が得られないのだ。

次回は、現役教師たちをさらに追い込む「日本語指導」の知られざる問題点を列挙してみたい。

取材/文 八幡那由多

▶︎後編に続く


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