実際問題、現在の日本で無痛分娩は一般的ではない。
厚生労働省が2022年に発表した「令和2年(2020)年度医療施設調査・病院報告の概要」の結果では、分娩施設取り扱いのうち無痛分娩は26%で実施され、実施率自体は全体の8.6%だ。
これは100人中8人が無痛分娩で出産している計算になる。
実施率は徐々に増加しているものの、普通分娩が9割以上を占めており、激しい痛みを伴う陣痛に耐えて出産する妊婦のほうが圧倒的に多い。
一方、ほかの国ではどうだろうか。
アメリカやフランスでは無痛分娩を受ける妊婦が多い国として知られており、アメリカ全体では73.1%、フランスでは1981年に4%だったが2016年には82.2%まで上昇している。
日本であまり普及していない理由は、お腹を痛めて産んだ子こそ尊く、痛みを避けるのは逃げなどといった考えが根付いているのも原因だろう。
しかし、無痛分娩を選択したからといって計画的にお産が進むわけではないのも事実だ。
基礎疾患を持つ人や、合併症のリスクがある人、妊娠中何らかの体調不良により麻酔が打てない人もいて、実施する前に医師の説明や同意書の提出が必要になる。
途中までお産が進んだとしても、緊急帝王切開になる可能性だって十分にあり、痛みを緩和するメリットがあるぶんデメリットも存在するのだ。
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