「数か月前、仕方なく参加したある地域行事で、たまたま地元の政治家の人と話す機会があったんです。
ほんの数分でしたが会話する中で、『生活が大変なので子どもが安価にピアノを学べる場所が欲しいです』と話すと、『そういうのあるといいですよね、よく心に留めておきます』と言うだけでした。
今思えば選挙直前だったのでパフォーマンスにやって来ただけだったのかなと思います。私と同じ生活を3日でもやってみていただければ、貧しいシンママ家庭の実態が肌でわかると思うのに」
子どもの習い事を助成している自治体もあるが、残念ながらみれいさんが暮らす地域にはそのような制度はない。
「娘にピアノを」なんて夢のまた夢になってしまった、とみれいさんは深いため息をつく。
窮状にあえぐ人々の思いは、「政治家に私と同じ生活を体験してみてほしい」と訴えるみれいさんの言葉に尽きるだろう。
懸命に生きる彼女が報われるよう願わずにいられない。政治家の皆さんには、生活困窮者から聞いた話を、右から左へ受け流さないでいただきたいものだ。
※この記事は取材に基づいたものですが、取材対象者のプライバシー保護の観点から、構成・編集に配慮していますことをご了承ください。
取材/文 中小林亜紀
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