みれいさんは、公立中学の部活なので楽器は貸与されると思い込み、入部に同意したという。
娘の担当楽器はトランペットに決まった。事前に入部説明のプリントは配られていて、必要な生徒のみ楽器購入、とあったそうだ。
「必要な人というのは、学校に備品としてその楽器がない人、貸してもらえない人という意味だったそうで、トランペットは個人購入が必要だったんです。私はそれを、単に購入を希望する人が買うのものだと勘違いしてしまって」
みれいさんが調べてみると、トランペットは初心者練習用であれば安価なものがあったが、吹奏楽部での使用に耐えるグレードとなると、最低でも10万円ほどかかることがわかった。
「仕方なくローンを組んで買いました。審査に通らないかと思ったのですが通ったんです。
でも、これでまた月々かかるお金が増えてしまいました」
娘は目に涙をため、何度もみれいさんに謝罪の言葉をかけたという。
みれいさんは、たまらない気持ちになった。
「私、涙を堪えるのに必死で『謝るのはお母さんの方だ』と言いたいのに、口元がガクガクして話すこともできませんでした。
私の希望は子どもたちだけです。でも、娘が音楽を続けるには先立つものが必要です」
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