【前編あらすじ】
「高校の先生って、夏休み長くていいよなー」そんな世間のイメージとは裏腹に、高校教員の夏休みは、あってないようなものだという。「夏休み」に対する、現役高校教員たちの本音とは……。
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「私は結構、『夏休み』は優雅な暮らしをしていると思います。夏休みにはいってから1週間ほどは午前中に補習をして、午後からは三者面談をします。準備もあるし、保護者の方々から直接クレームなどを伺うことにもなるので、この時期は精神的にきつい感じですね。8月に入ると教育研修所における研修会に参加します。『研修』は教員の義務ですから、何らかの研修会を受けに行くのですが、普段は授業をしている立場なので、個人的にこの研修期間はかなり楽しみにしています。その後さまざまな学校と合同で行われる教科の研究会があって、こちらもやっぱり私は楽しいですね。他の学校の先生方が、教科指導をどのように工夫されているのかを伺うと励みにもなりますから。自分の今後を考えていくヒントを得られることもありますし、そこで交流した方と、後々まで連絡を取り合うこともあります。お盆期間中はさすがに学校自体が休業になるので出勤せず、お盆休み明けは2学期の準備をします」
そう話す未来さん(仮名)28歳は、関西にある公立高校で英語を教えている。
「まあでも、あまり他人のことは言いたくないですが、研修にも研究会にも積極的ではない先生というのはどの学校にもいらっしゃるみたいで、出欠確認の時だけ顔を出して、その後姿を見せない方や研修会中ずっと眠っている方もいらっしゃいます。そもそも参加すらしたことがないという先生もいらっしゃるそうなので、『自分自身の成長を目指しているのか』というのは人それぞれだと心の底から感じますね。」
未来さんはやや軽蔑しているような口調でそう言った。