【後編】妻が認知症の姑に笑顔で「お帰りは待ってませんから」...夫に明かされた積年の恨みとは　

よくよく話を聞くと、女同士だからか、妻は娘が成人した頃から姑の愚痴をこぼすようになったという。

「お母さんは、昔からおばあちゃんのことが大嫌いだと言っていると娘が言うんです。妻は若い時分からかなり母にイビられてきたんだと。驚きましたね、そんなやり取りは見たこともなかったし、妻から聞いたこともありませんから」

娘はいよいよ真相を話さなければいけないと判断したらしい。その告白によれば、姑が外へ出かけたくなって支度を始めた時、あれこれと世話を焼きながら姑の外出を嬉しそうに促す母の姿を目の当たりにしたのだとか。

「これは言わずにおこうかと思ったけど、と前置きして娘が教えてくれたのは、暗くなってから出かけようとする母を、妻は止めるどころか『お帰りは全然待ってませんから』とニコニコしながら声をかけていたというショッキングな話でした。母は悪意が理解できず笑い返したと」

娘に姑の悪口を聞かせてすっかり共犯意識を持ったのか、妻は娘の前でつい本音を見せたのかもしれない。娘は母が怖くなって何も言えず、その時は見て見ぬふりをし、自らすぐに出ていった祖母を連れ戻したのだという。

「娘が最初私に『もしかしてお母さんがおばあちゃんをわざと徘徊させているかも』と相談してきた時は、かなり遠回しに言ったということです。本当のことを話した後、娘はその場で泣きじゃくりました」

娘は、お父さんはお母さんのことを何もわかっていないと言った。お母さんの気持ちに気づかなかったお父さんにも責任があると指摘され、雪彦さんは動揺した。