「買い先行」の鮎川さんの地獄は避けられたのか
今回のケースでは、「買い先行」の鮎川さんと「売り先行」の坂東さんで明暗が分かれました。自宅がなかなか売れない鮎川さんは地獄を見ている気分でしょう。しかし「買い先行」が選択ミスだったのかというとそうでもありません。時勢により難なくうまくいくこともあります。今回の場合、検討すべきだった方法の1つは「買い替え特約」です。
新居の売主との契約で、買い換え特約をつけて二重ローンのリスクを避ける方法があります。買い替え特約とは、それまで住んでいた家が売れなければ、新居を購入する売買契約を白紙にできる特約です。進め方は特約をつけるだけです。まずは特約がないときと同じように住宅ローンの審査を進めておきます。買い換える新居の売主との契約でこの特約をつけられれば、万が一住んでいた家を売却できず購入する契約をキャンセルしても、手付金などのペナルティがありません。買主に非常に有利な特約ですが、新居の売主にとっては大変不利な特約です。この特約は、売主がどうしても売りたいと思っているなど特段の事情がないと難しい場合があります。新居を購入する際に、仲介する不動産会社と十分に打ち合わせておくとよかったでしょう。
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