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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「妊娠が証明できただけ、あなたはまだマシ」35歳、主婦を泣かせた「善意のマタハラ」の苛烈。

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処置室では全身麻酔を打った。

麻酔がきいてくる直前、涙がとめどなく流れてこめかみを伝って髪をぐっしょりと濡らし、見かねた看護師が「お願い、泣かないで」ともらい泣きした姿が見えた。

「気が付いた時には手術が終わっていました。処置中でも、ところどころ何か体に衝撃を受けるような感触はわかりました。いつのまにか眠っていて、目が覚めた時にお手洗いに行きたいと思って看護師さんにつき添われて行ったけど、麻酔が切れていなくて、驚くほど足がふらついてしまって、転んで、情けなくて泣いて……。お腹をかばうくせがついているから、お腹に手をやっては泣いて……。」

千春はその後、流産のショックで無気力になった。テレビをつけると、芸能人のおめでたの話題ばかりが目についた。なぜこのタイミングでこんなにも妊娠や出産の発表が続くのだろう、そして、なぜ誰もが無事に出産できているのだろうと不思議でならなかった。流産する割合は少なくないと聞くけれど、自分の周りでは誰も流産などしていない気がした。

「それでも、妊娠を報告した人には、結果を伝えなければならないと思ったんです。で、義実家には夫に連絡してもらいました。本当に喜んでくださったのに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。私の両親はあからさまに落胆していましたね。謝ってはいけないと思っていたけど、反射的に、楽しみにしてくれていたのにごめんねと言ってしまって。」



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