分ける意味については、平成30年に告示された学習指導要領に明記されている。
「『現代文』という教科の指導においては、教材の読み取りが指導の中心になることが多く、国語による主体的な表現等が重視された授業が十分行われていないこと、話合いや論述なといった『話すこと・聞くこと』、『書くこと』の領域の学習が十分に行われていないこと、古典の学習について、日本人として大切にしてきた言語文化を積極的に享受して社会や自分との関わりの中でそれらを生かしていくという観点が弱く、学習意欲が高まらないことなどが課題として指摘されている」
というのがその内容だが、国語の授業に多くを求めすぎなのでは?というのは誰もが抱く印象ではないだろうか。
「2つに分けられたって、学習指導要領にあるようなことを完全にするのは無理です。だって、受験がありますもの。そして、その受験で行われる『共通テスト』では、話し合いや論述をしません。相変わらず、与えられた選択肢から正解を選ぶのが『共通テスト』ですから。私は何も、選択肢から正解を選ぶという形式が悪いと思っているわけではありません。受験生の数などを考えると、マークというのは大変合理的だと思っています」
「だから、前のセンター試験でよかったのに、よくわからない新指導要領を導入して、その言い訳みたいな『共通テスト』を作成しているようなそんな感じです。新指導要領で『話し合い』と言う文言を入れてしまったからでしょうね。『共通テスト』になってから『試験問題の中に生徒ABCDが話し合っている文章を読んで、次にEが発言するだろう内容として適切なものを選べ。』といった問題が入るようになりました。それも、形式に惑わされさえしなければ、かなり難易度は低い問題です。形式にこだわりすぎている点が、『共通テスト』の問題点なのかも」
桃子さんはそう言って笑った。そこには吹っ切れたような笑顔がある。