「資料の読み取りとか、複数の情報を比較する問題には文句ありませんけど、英語は、アクセントや語句整序問題をなくしてしまった理由がわからないという点に問題を感じています。『センター試験とは違う試験にする』ということにこだわりすぎているのではないかと不安。高校生の3年間の学習の成果をみるための試験だということを本当に考えているのかなあと疑問です」
そう話す隆史さんの言葉に、桃子さんも頷く。
「確かに、何を一番大切だと思っているのかが不明ですよね。世界情勢の変化や技術の進化には目を向けているのかもしれないですけど、その試験を受ける高校生に目を向けた結果なのかなあという疑問はあります。隆史先生がおっしゃっていた複数資料を読み取る問題は、形式が目新しいだけで内容はかなり簡単。読むのが早くて、目新しいものに動じない子どもであれば、とても簡単に解けたと思いますよ。学力ではなく、精神力を試す問題みたいな感じ。新学習指導要領に歩み寄ることに必死なのかしら…」
桃子さんのため息が深くなったのには理由がある。
「新学習指導要領も、なんというか……改善とは言えないようなそんな感じです。『変える必要はあったのか?』って現場の教員はみんな思っていると思いますよ。授業もしづらくなりました」
苦笑いでそう話す桃子さんの手元には三冊の教科書がある。『論理国語』『文学国語』『古典探求』だ。
「以前は『現代文』という教科だったものが現在は、2つに分かれています。まあ、簡単に言うとその『現代文』が『評論文を学ぶ教科』と『物語文を学ぶ教科』に分かれているのですが、分ける意味はわかりません」
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