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【後編】刃物を持った相続人に、首を絞められて……探偵が体験した台湾の相続問題に関わる危機一髪の出来事

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前編あらすじ】
台湾人男性から「第一相続人である日本にいる従兄弟を探して、相続を放棄させたい」との依頼を受けた著者は、数々の調査を重ね、ようやく対象者の現在の住所に行き着いた。同じマンション住民からの対象者の評判はすこぶる悪く、怖気付いた著者だったが、いよいよ対峙することに。ドアの向こうにいる人物がとった、衝撃の行動とは……。


 

「すみません。児玉総合情報事務所の者です。台湾にいらっしゃる『太田至誠』(仮名)さんの従兄弟からのご依頼で参りました」

返事はない。だが、中で扇風機が回っているのが見え、「ゴソゴソ」と、人の動く気配はしているため、もう一度、同じ台詞を繰り返した。 

すると、中から、酷く痩せた60代後半〜70代の白髪の男性が、白いランニングと男性用のスパッツ、昔で言う「股引」姿で現れ、15cmの隙間から、ギョロッと血走った目をこちらに向けた。直感で、それが第一相続人の太田氏だとわかった。 

「うるさい! 関係ない! 帰れ!」 

そう怒鳴ると、太田氏は、ドア下に挟んだ木片を蹴飛ばした。



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