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「自分の通帳が使えない...」養子が豹変。老人ホームでほぞを噛む75歳、ビルオーナーの「人生最大の過ち」

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人は歳を重ねると、お金の重さが身に沁みるようになる。贅沢はしてみたいし、それ以上に人生末期に生活に困窮するかもしれないという恐怖や不安から逃れるのは難しい。

それゆえ、何かの拍子に「億」がつくお金が目の前にちらつくと、人は豹変する。その恐怖と不安から自由になれる――と妄信するわけだ。それこそ、ガラリと音を立てて人が変わるその様を目の当たりにしてきたのが、表に出てこないトラブル処理を数多く担っている探偵たちである。

児玉情報総合事務所(東京・中野区)のベテラン探偵、佐藤氏が某日受けた依頼は、とある独身男性からのものだった。年齢はまだ75歳だが、依頼を受けて新大阪駅からほど近い老人ホーム施設を訪れた際は日々の生活を車いす上で送っていたという。


©︎gettyimages

「この男性をAさんと呼びますが、実はAさんは神戸一等地のJR駅近ビルのオーナー。その相続問題に悩んでいました」(佐藤氏、以下同)

駅から徒歩数分の一等地にある11階建てのそのビルは、オフィス棟の上に居住棟があり、その最上階にAさんは妹とその息子――Aさんの甥っ子――を住まわせていた。この2人にビルも含めた一切の財産の相続の口約束をしたというのだが……。

「『自分の銀行口座を自由に使うことができない』というのがAさんの悩み事でした。施設の使用料だけでなく、ちょっと買い物をする時のお金ですら妹親子が出し渋る、と」

これには理由があった。Aさんとこの甥っ子が養子縁組していたのだ。その意図は明らかだった。

「当初、Aさんは確かに妹も甥っ子も可愛がっていたとはいえ、養子縁組までは気が進まなかったそうです。そこを2人に押し切られてしまった。これでAさんは妹と”養子”に通帳と判子を完全に握られてしまいました」

Aさんの悩みを聞いた職員さんから依頼を受け、佐藤氏はこの妹と”養子”が来ない日を狙って同施設を訪れた。Aさんは佐藤氏に、「最初は全財産を相続してもいいと思っていたが、2人はどんどん欲深くなってきた」「私が私のお金を自由に使えないとはどういうこと? 場合によっては、相続人を他の人に変更したい」とその心中を吐露したという。

Aさんの通帳と判子を手に入れたことで、2人はAさんに「私たちの金を勝手に使うな、減らすな」と豹変したわけである。もはやその残高すらAさんには知るすべがなかった。どんなことがあっても、養子縁組など簡単にはしていけないのだ。

Aさんと何度か面会するうち、佐藤氏はこの姉妹の少し複雑な半生を知る。次回ではさらに詳細に、ことの顛末をレポートする。

探偵 こころたまき



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