今年も父の日が終わろうとしているが、母の日とは比べようもないぐらい「普通の土日感」が漂っているのは、父という生き物の宿命なのかもしれない。
ところで、ジェイアール東日本企画が実施した男性のファッションに関するアンケート結果によると、調査対象となった35~69 歳の男性の中で「センスのいいものを身に着けたい」と考えている人の割合は平均で約83%に及んだという。
「センスの良さ」以外にも、自分らしさ、自己表現、エチケットなど、ファッションを考える上では、大人の男性も多分に人目を気にしていることが窺える結果と言えるだろう。
しかし、ひと口に「ファッションセンス」といっても、もちろん人の感性は多種多様。夫婦間で服装の好みが合わず、お互いにそのことを指摘できずにモヤる…..などという場面は珍しくないのではないだろうか。
今回夫婦間トラブルについて取材したのは岡本留美子さん(仮名)。
服装に関する「イジリ」が夫との間でモメ事の発端となり、一時期関係が悪化し苦労した経験について聞いた。
「主人はもともと独特なファッションセンスというか、正直一緒に歩くのが恥ずかしいほど、私と服装の傾向が違う人なんです」
留美子さんの話は、歯に衣着せぬ物言いから始まった。
「本当にそうなんです。結婚する前なので、すでに15年くらい前から夫のファッションセンスが凄いということはわかっていたんです。仕事はスーツですから、職場ではあまりバレていなかったと思います。見る人が見ればスーツ姿も人によってだいぶ差があるんですけどね」
留美子さん夫婦は社内で出会い、15年前に授かり婚。今では14歳の長女と12歳の次女、9歳の3女との5人家族だという。
女ばかりの家族なので、父親がイジられ役に回りがちであることも今回のトラブル原因だったかもしれないと留美子さんは振り返る。
しかし、そもそも結婚前から、夫の服装に対して留美子さんから気軽に突っ込みを入れていたし、それによって場の雰囲気が和んでいたとも言う。
「つき合っていた頃から夫はなかなかの格好でデートに現れました。柄物のボタンダウンシャツに柄物の半端な丈のワークパンツ、みたいな。
私はわりと思ったことをすぐ言うので、ちょっと待って、それやばいとか言いながら、映画行く前に一緒に服を買いに行ったりして(笑)」
留美子さんがサバサバと突っ込みを入れても、「なんだよ、お前って失礼だな。ふざけんなよ」と大笑いしながら返してくるような朗らかでイジられ上手な夫の性格が、留美子さんは大好きだった。