「それを聞いて私、咄嗟に本音を言ってしまいました。子どもが積み木を横にしか並べないからといって、私は全然心配じゃありませんと。こんなふうによそのお子さんたちと比較されるような雰囲気の中で積み木が積めた積めないとかやられてしまうと、普段していない心配に火をつけられるような気がします。その方が負担ですと」
担当者は「お母さんを不安がらせるためにやっているのではない」と沙織さんを諭した。現時点でどのくらい成長しているか、心配な点はないか見ているだけだと。この月齢では、その時の気分で積み木を積まない子もいるし、指差しをほとんどしない子もいるのだから、過剰に心配しなくてもいいと。
「では、なぜ1歳半健診でそれをやる必要があるのかなと思いますね。結局そうなんです。やらせておいて、”今の時点ではできない子もたくさんいる”とか、”子ども成長の速度はそれぞれ違うから気長に見守れ”とか、”お母さんが不安を感じていると子どもまで不安になる”とか、いろいろ言ってくるんです。ちょっと待って。不安にさせてるのそちらじゃないですか、と思ってしまったんですね」
沙織さんが最も心を乱されたのが、言葉の発達の検査だったという。
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