地方の田舎では高齢化が進み、若い人の割合がどんどん減っている。
20年前には３クラスあった中学校も、現在は１クラスとなり、さらに合併や統合が進み、無くなる学校の数もどんどん増えているそうだ。高齢者の割合は４割を越えようかというこの地域のコンビニでも、70歳を超えるおばあちゃんが高速でレジを打ちながら接客をしている。
そんな状況もあって、田舎では若い働き手が不足しているらしい。 コンビニでマネージャーを務める斎藤達也さん（仮名・30歳）はこう話す。
「若い学生やフリーターのアルバイトは毎年来てくれていますが、その数は年々厳しくなっています。ドラッグストアや他の飲食店も募集をかけていますし、時給の安いうちに来てくれる人はごく少数です。もはや人間の質はあきらめていて、とにかく応募してくれたら即採用という形になっている状態ですね」
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今回は斉藤さんから、そんなコンビニに入ってきた若い女性のバイトの話を聞くことが出来た。実はモンスター気質で大きなトラブルを起こしていったそうだが、果たしてどんな人物だったのだろうか？
そのコンビニに採用されたのは、友達の紹介でやってきた山下瑠璃さん（仮名・20歳）だった。
専門学生の山下さんは、遊ぶためのお金が欲しいからアルバイトを始めることにしたらしい。このコンビニでは友達を紹介すると、紹介料として１万円がもらえることになっている。仲が良かった同級生から紹介され、ここに来た形だ。
「山下瑠璃で〜す。よろしくお願いしま～す」
山下さんはおっとりした雰囲気で、マイペースな性格という印象だったそうだ。アルバイトの経験はなく、このコンビニで働くのが初めてだと言う。
山下さんを昔からよく知る幼馴染のスタッフはこう話す。
「瑠璃には兄が２人いて、三兄妹の一番下なんです。両親がやっと生まれた女の子で嬉しかったのか、とても甘やかされて育ったみたいで。だから瑠璃は性格も自分中心でお姫様気質、いつも自分の事をかわいいかわいいって言ってる感じですね。 まぁ正直見た目はそこまで……って感じなんですけど（笑）」
山下瑠璃さんの写真を見せてもらった。 おっとりした顔をしているが、髪を染めてメイクもかなり派手な感じだ。ただ体格はかなり大柄で、いわゆる太った女性と言ってもいいだろう。
「山下さんは最初はそれなりにしっかりやっていたんですけど、だんだんサボりが目立つようになってきたんです。珍しく入った若い女の子だったので周りもちやほやしていたせいか、自分の事を特別だと思っているふしがあるみたいで……すぐに事務所に入ってジュースを飲みに行ったり、休憩でもないのに何度もトイレに行ったり。シフトも30分遅刻とか当たり前になってきました」
「『若くてかわいいんだから別にいいでしょ』、そう言わんばかりの態度だったので、一緒にやっていたスタッフも、だんだんイライラしてきたみたいです」
ある時斉藤さんが朝の忙しい時間帯でお弁当の品出しをしていたところ、レジに人が並んでいたらしい。レジには山下さんがいたはずだが、見渡すとどこにも居なかった。
「どこに行ったのかとレジに向かったら、レジとレジの間の中央でうずくまって寝ていたんですよ。お客さんもお年寄りだったので、山下さんに気づいていない。さすがに『起きろ！』と叩き起こしましたが、あれはビックリしましたね」
しばらくしてから山下さんは、一緒に入っていた男性スタッフに好意を寄せるようになったという。 その男性スタッフに対して、ご飯や遊びの誘いを頻繁にかけていたそうだ。
「山下さんは手が空くたびにその男性の所に行って、いろいろ話していました。遊びの誘いだったみたいですが、その男性スタッフは首を縦には振らなかったみたいです。正直なところ山下さんは……同年代からは嫌われ気味だったので、それもあったのか男性スタッフもちょっと迷惑そうでした」
しかしその後、山下さんにとってショックな出来事が起こってしまう。山下さんが目をつけていた男性スタッフは、山下さんを紹介してくれた友人の女の子と付き合ってしまったのだ。
「山下さんの友人は真面目な性格で、仕事も一生懸命やっていました。スタッフやお客さんからも信頼されていて、その男性スタッフもそんな部分に惹かれたみたいです。男性スタッフの方から告白して、２人は付き合うことになったみたいですね」
しかしそれを知った山下さんは、コンビニ中を修羅場と化すような騒動を巻き起こす。衝撃の後編に続く。
取材/文 鮫島祐樹
