「妻と話す時はボイスレコーダー2つが手放せなくなりました。たまたま録音を始めた頃、妻の母がうちに来たんです。義母は、アダルトサイトにお金を使っているんですってねと凄んできました。佐智子は、結婚前に亮太さんがそういうものを見たり風俗に行ったりしないことを確認したと言っていると、そう詰め寄ってきたんです。離婚は認めないとも言っていました」
亮太は途方に暮れた。
「妻がそんなことまで義母に話していたという事実にも驚きましたし、抗議させるためにわざわざ母親を呼んだのかと思うと、ぞっとしました」
亮太は確かな証拠を残そうと、姑と妻の前で、これまでの仕打ちや吐かれた暴言を淡々と述べた。時折妻の同意も促し、ひどいあだ名で呼んでいる事実などをうまく認めさせることができたという。
「僕は離婚したいと言いました。ひとまず別居して心の平穏を確保したいと。すると、親子は口々に僕を責めたんです。アダルトサイトで浮気まがいのことをしながら、妻との営みは避け、心を傷つけていると言って。なぜ僕がここまで言われなければならないのでしょう」
義母が訪れる以前に妻の暴言は一通り録音することに成功していたため、亮太は何とかその地獄の時間をやり過ごした。
「その後はとにかく別居したいの一点張りで、ひとまず実家に逃げ帰りました。モラハラ認定されれば離婚できると思うので、預貯金をしっかり分与して、できるだけ早く別れたいと考えています」
結婚前、佐智子の豹変は全く予測できなかったと亮太は言う。妻がもとからそのつもりで亮太に近づいたのか、「望み通り」に行かない結婚生活が彼女を変えたのかどうかは、今となっては誰にも知る由がない。
Text:中小林亜紀
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