突然、頭の中に浮かんできた不倫という言葉。一気に不安が襲ってきた。
ダニエルが寝静まった頃、見てはいけないと思いながらも気になり、スマートフォンを手に取り、寝室を出た貴美子。
©︎gettyimages
画面をオンにし、パスコードを入力した。以前、二人で一緒に結婚記念日をパスコードに設定したため、解除されるものだと思い込んでいた。しかし、何度か打ち込んでもロックは解除されなかったのだ。記念日や誕生日など、思いつく数字を入力していくが、一向にロックは解除されない。
スマートフォンを見ることができない貴美子は、居ても立っても居られず、親友の美晴(仮名)に電話をかけ、今回のことを話した。
「え? ダニエルさんが? でも怪しいよね……」
「うん。怪しいよね。どうしたら良いかな?」
「ロック解除できないなら尾行するしかないんじゃない?」
「え? 尾行!? 絶対バレるよ」
「このままモヤモヤしているの嫌でしょ? 一緒に行こうか? 明後日でよければ行けるよ」
「うん。このままの状態も嫌だからお願いしていい?」
「いいよ。明後日16時に待ち合わせね」
一人だと不安だと思った貴美子は美晴の提案を受け入れ、二日後にダニエルを尾行することにした。
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