「2回目は助産院を諦めました。あの提携病院に通うことが嫌だったので、はじめから産科のある病院に行ったんです。」
つわりが始まったが、千春にとっては吐き気さえ嬉しく感じられた。ところが、毎日赤ちゃんが無事なのかどうかが不安でたまらず、病院に直訴して診察の頻度を上げてもらったのだという。
「妊娠検査薬をまとめて買って、2日おきくらいに検査していました。相変わらず体温も測っていました。妊娠中は高温が続くので、それを確かめていたくて、1日に何度も……。」
千春は神経質になり過ぎていることを自分でもわかっていたが、何か行動していないと不安で胸が押し潰されそうになった。
しかし、そうした思いも届かず、妊娠10週の時、夜中に激しい腹痛が起きた。大量に出血して病院に運ばれ、流産したことを知らされてしまう。
「もう何も考えられなかったです。泣くことしかできなくて。それから半年ほど経ちますが、やはりこの間の記憶があまりないんです。今回は安定期に入ってから周囲の人に報告するつもりだったので、誰も私の妊娠と流産を知りません。でも、前の流産の時のように、妊婦さんや赤ちゃんを目にしておかしくなってしまうのかと思うと、憂鬱で外に出ることができないんです。職場にいづらくなり、仕事もやめてしまいました。」
不育症の検査を受けてみたが、子宮形態や内分泌など、いずれも異常は見られなかったのだという。
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