【後編】男性教員が受けた制裁は正当なのか？ 性犯罪加害者に下された「晒し」に、探偵がこぼす独り言。

香那は、その後６日間に渡り、毎日決まった時間に実家を尋ねた。

実家のマンションから出て、飼い犬の散歩や買い物に行く姿も見られたが、常に母親や妹が一緒であり、どんな時も、彼女が１人で出歩くことは無かった。そして、午後８時前には必ず実家を出て、１人で暮らす部屋に戻り、そのまま朝まで、部屋を出ることもなかった。

何度か実家からの外出時に香那を尾行し、離れた所から様子を見たが、彼女は一度も笑顔を見せることはなかった。何をしていても香那はいつもどこか「心ここに在らず」といった様子で、犬や小さな姪っ子と触れ合っている時でさえ、はしゃぐ様子もない。

淡々と６日間が過ぎ、迎えた７日目。調査最終日は日曜日で、香那は実家にも行くことなく、丸１日部屋を出ることはなかった。実家で同居する妹夫婦への気遣いだったのかもしれない。その日は、動きのないまま日没を迎えた。

こうして１週間にわたる調査は、学園側の望む情報が全く得られないまま終了した。他の男性との交際やアルバイトの証拠はおろか、休暇を楽しんでいる様子すら香那には見られなかった。