「関係に疲れてしまった」
泥沼のダブル不倫の果てに交際相手を殺害した高校教員の事件が昨年あった。「学校の先生が聖職者だったのはもう昔の話だったのか」と感じた方も多いだろう。
モンスターペアレントやブラック部活、長時間労働と給与のバランス...いま、かつてないほど学校の先生にかかる負担が大きくなってる。
一方、わいせつ事件やハラスメントなどのニュースも繰り返し報じられている。世間からは見えにくい学校という閉鎖空間で、いま何が起きているのか。現役の教師に話を聞いた。
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「教師の不倫なんて掃いて捨てるほど。他の職業より絶対に多いと思うわ」
そう断言する真帆さん(仮名・50歳)も、聖職者のひとりだ。現在は関東地方の某都市で高校教師を務めている。大学生になる息子と娘の母である彼女は、こう付け足して不敵に笑った。
「学校という環境自体が、不倫に向いているといったほうがいいかもしれない」
そんな彼女に、学校の先生が不倫に陥りやすい理由を教えてもらった。

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小学校の先生はそれほどでもないが、中学や高校の先生はたいてい何らかの部活動の顧問という役割につく。そうなると、試合や練習のために休日に出勤することになる。また、生徒に何か問題が起きた場合は、いつ何時でも出動しなければならなくなる。
これは、裏を返せば、何もない時も「生徒が」「部活が」と言って、休日に家から出て行くことができるということだ。仕事を盾にして、休日に不倫をしていてもバレにくい。
また、部活動の指導で地方遠征に何人かの教員が生徒の引率にあたる場合、引率ではあるもののまるで一緒に旅行をしているような錯覚に陥る教員同士もいる。
「高校生なんて、ほぼ大人だから、そこまで監視したり面倒を見たりする必要がないの。そうすると必然的に、教員同士で過ごす時間が長くなるでしょ? ついつい親密になっちゃうのよね……」
そういう真帆さんは、女子バレー部の顧問だった時に、男子バレー部の顧問と男女合同の合宿中に親密になったそうだ。
「そうなると、男子の試合を見に女子を連れて行ったり、逆に向こうが女子の練習を手伝いに来てくれたりして、自然な形で接点が増やせるの。会う時間が増えるし、仕事はしてるわけだから、その後に一緒にご飯を食べたり、その後にちょっと飲みに行くのも自然な感じになるじゃない?」
少し親密になれば、そこからより親密になることは、「教員同士であればあるほど簡単」なようだ。なにせ教師同士の話題が尽きることはない。夥しい生徒と保護者、学校内の人間関係......
☆そしてなにより「疑われにくいこと」が、不倫の進行に拍車をかけるという。次回ではさらに深くこの問題を掘り下げてみたい☆