帰宅すると、妻は「おかえり」と優しく出迎えてくれた。妻の腕の中にはミルクを飲む息子がいた。孝明さんはその平和な風景にホッとしたという。
しかし、ミルクを飲み終えた息子に、げっぷをさせようと、妻が息子の背中をトントンと叩いた。その時に、息子は吐き戻し、妻の服を汚してしまう。そして、妻が息子の足をつねり、息子は泣き出した。
「僕が何をやっているんだ! ととがめると、“しつけだよ。当たり前だろ!”と言い返してきたんです。息子の足にはつねられた跡がありました。とりあえず、息子を連れ、おむつとミルクと哺乳瓶を袋に入れ、逃げるように実家へ。両親に話したら、しばらく家にいろ、と言われたんです。母は妻が慣れない育児で疲れており、ぐっすり休ませれば変わると言いました」
しかし、孝明さんは妻が変わるとはとても思えなかった。翌日、息子を母に預けてマンションに戻ると、室内が壊滅状態になっていた。食器は全て割れ、カーテンは引きちぎられ、家具はぼこぼこになっていたという。
「妻はベッドで泣いていました。相当暴れたらしく、全身筋肉痛で動けないという。家具を蹴ったんでしょうね。脚を見ると内出血で腫れていました。恥ずかしい話、僕は怖くて動けなくなってしまった。脚がすくんでいると、加代子さんから大丈夫かと電話があったんです」
廊下に出て、加代子さんに「離婚の証拠になるように、写真を撮っておけ」と言われた通りに、孝明さんは写真を撮った。
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