「なに?また塾調べてるの?」
「だって、2月には新学期が始まっちゃうのよ。もう遅いくらい、早く決めないと……。2月の入塾テスト、今からでも間に合うかしら…」
妻である美幸(43歳・仮名)は、一日中PCとにらめっこして、息子をどの塾に入れるかばかり考えている。
「翔馬、まだ2年生だよ。早いんじゃないかな」
「何言ってるの。早い子は1年生から塾に通ってるのよ。それに、御三家に強い塾なんて4年生になって入れようとしても、すでに満員で新規募集中止なんてこともあるんだから。そもそも入塾テストに一回でパスできるとも限らないし…」
そう話している間も、美幸は画面から一切目を離さない。夫である貴久(45歳・仮名)の意見に耳を傾ける気がないのは明らかだ。
塾のサイトや口コミサイトをあちこち見ては、難関校の合格実績や授業のある曜日と時間、テストとそれによるクラスの昇降、お弁当の有無、塾代、そして評判などを調べて表にし、一人でブツブツとなにやらつぶやいている。
東京育ちの美幸は、自分自身は地元の公立中学校に進んだが、周囲には私立に進学する同級生が多く、私立の中学校にずっと憧れを抱いていたという。
一方、東北で育った貴久は、高校まで公立。中学受験なんてまったく縁のない世界だった。
中学校までは義務教育なんだし、この少子化の時代にわざわざ高いお金払って私立に行かせる必要があるのだろうか……。そもそも物価高でいろいろ値上がりしていて、家計に余裕があるわけでもないのに……。
そう思っているが、子どもの習い事や教育に関しては美幸が主導権を握っていて、一切口を出すことができない。
このまま、美幸に押し切られるようにして、翔馬の塾通いが始まってしまうのだろうか?
夫婦で目指す方向性が異なっている、というお悩み。心理カウンセラー、五百田達成さんからのアドバイスは?
Text:FORZA STYLE