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LIFESTYLE ネット・SNS危機管理マニュアル

「ヤバい消しちゃえ!」は自爆スイッチ。塩村あやかの炎上例に学ぶ「過去ツイートの正しい扱い方」

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

「失言」「暴言」は消しちゃダメ!魔法の呪文「消すと増え~る」

先日、塩村あやか氏(参議院議員)のツイッターが突如注目を集めた……のですが、実は話題となったのは投稿の内容ではなく、投稿を「消した」こと。しかも削除されたツイートは今から12年前のモノ、というミステリー。いったい何が起きたんでしょうか?

“消えた投稿”には「沖縄に米軍基地があると、地域の軍事的均衡が保たれる(要約)」という、客観的に見ても「まあ、実際そうだよな」という記載があり、確かに彼女の所属政党とは異なる見解ですが、あくまで政治家になる前、もう12年も前の投稿。「当時はそう考えていたんですけどね」で済む話ですが……削除したようだ、という形で話題となりました。

実のところ、この投稿がいつ削除されたのか正確なタイミングは分かっていません。恐らく割と最近のようで、でもご本人からの説明コメントも無く、真意は謎(しかも、ほぼ同じ内容の投稿が他にもあり、そっちは消していない)なんですが、注目すべきはそこじゃない。実はこの「削除」が話題になるや否や、消したはずの投稿が、ツイッターなどで一気に拡散し始めたのです。

魔法の呪文「消すと増え~る」

みなさん、もしご自身のSNSにウッカリ「失言」「暴言」を投稿、それが騒動となってしまったら……思わず消したくなりますよね。バッシングが激しければアカウント丸ごと消したくもなる。でもちょっと待って、それはダメ。ネット炎上でやってはいけない一番の悪手です。なぜならネットは「消すと増える」世界だから。

本人が「むむ、これはヤバいかも!」と削除したくなるような状況なら、ネット上の誰かさんだって「むむ、これはヤバい投稿だ!本人が消しちゃうかも」と感じて、とりあえずその投稿をスクショ、画像で保存しています。絶対しています。手慣れたネット民なら魚拓(データまるごと保存)を取って、在りし日の姿そのままで保存、というありがた迷惑な職人気質を発揮しているかもしれません。

そんなお節介さんが1人でもいればもう十分。ネットは1人で100万人に拡散できる道具。ヤバそうな投稿が消された瞬間に、誰かさんが保存した「消された投稿」のスクショやデータにプレミアが付き、あっという間に拡散するのです。だって消されちゃったんだもの。消されたモノ=みんなが欲しがるモノ。つまり「ヤバい投稿を消す」という行為は、自爆スイッチを押すようなものなんですね。

ツイッターで「消すと増える」と検索してみてください。無かったことにしたかった誰かさんと、それを「逃がさないぜ」と追いかける誰かさんの、トムとジェリーをいっぱい見つけることができます。

黙って消す、こっそり消すと……

そうは言ってもヤラカシ投稿は消したくなるのが人情。実は「消すと増え~る」を発動させないテクニックがあります。ポイントは「宣言」と「タイミング」です。

「この投稿は○○という理由で、後日削除します(必要なら謝罪も)」

こんな宣言をして、ある程度の非難・反響を意図的に起こしてから、ほとぼりが冷めたころに削除する。あるいは消す前にスクショを取って(必要な箇所にはボカシを入れて)、「消したのはこれです」という形で再投稿する。こうすれば「増え~る」を最小限に抑えられます。つまり、どうやっても「無かったこと」には出来ないのです。

とにかく「黙って消す」「こっそり消す」はやっちゃダメ。ソレをやってしまうと「無かったことにする気かァ!?」「逃がさないぜ!」というネット民の熱いハートに火を付け、今回の塩村氏のように無駄に騒ぎが大きくなるだけ。黙って消せば「後ろ暗いところがあるのでは」と解釈されるリスクも生じます。そういった意味でも「シレっと削除」は選択肢になりえないのです。

それでも「やってやるぜ!」と僅かな可能性に賭け、果敢にも「黙って」「こっそり」にチャレンジして大炎上、燃えカスなってしまう方が後を絶ちません。うう、削除したい……という気持ちに襲われた時は、魔法の呪文「消すと増え~る」を思い出しましょう。

さあ、みなさま、ご唱和下さい!「消すと増え~る」

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員) 



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