実のところ、ayaka本人は金持ちでもなんでもなかった。サロンの会費を収入源に暮らしている無職である。
「ayakaが僕の作り話に興味を持って、個人的にメールを送ってきたときは天にも昇る思いでしたよ。ayakaは僕のうそっぱちの財産に興味を持ったんです。当時はそんなことはどうでもよくて、とにかくayakaを抱きたい、ayakaと付き合いたいという気持ちに突き動かされていました」
連絡を取り合い始めた2人が男女の仲になるのに、時間はかからなかった。某山手線駅のすぐ近くに堂々と鎮座する高級フレンチレストランでの食事に、夜景が見える部屋でのまばゆい夜。陽平はayakaを偽物の財産で騙して手に入れ、ayakaは金のために陽平に抱かれた。
「なんでそんなデートを何度もできたかって? そりゃ前職時代に作ったクレジットカードですよ。金融系総合職で勤続20年超。年収は1000万円。そりゃカードの限度額はどれも300万円を超えています」
陽平は、あっという間に家族を省みなくなった。妻の美佳子は子どもたちを連れて実家に帰った。稼げなくなった上に、家族をないがしろにする夫は無用の長物である。一方ayakaは陽平に結婚をせがむようになった。家庭を壊してまでayakaとの関係を求めた陽平と資産家を求めるayaka。彼らの思惑は一致した。
「どういうこと? なんで私の家族カードが決済できないの?」
ayakaと陽平の暮らしが破綻したのは、結婚してから3ヶ月が経ったころだった。ayakaは陽平の嘘を信じ込んでいたから、欲しいものはなんでも買ったし、毎日外食に明け暮れた。クレジットカードの限度額は、ayakaの奔放な散財によりあっという間に上限に達した。
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