絶望的な朝を迎えたものの、幸いにも翌朝は土曜日だった。祐子さんは昼前に目を覚まし、のろのろと階段を降りて行った。
そんな気持ちもつゆ知らず、リビングには、呑気にテレビのワイドショーをみている夫の間抜けな後ろ姿があった。
祐子さんは夫に対して、殴り殺したいような衝動を感じながらも、少し時間を置いたからかその背中に向かって冷静に問いかけることができた。
妻の口から「SHIGEMI」という名前を聞かされた途端、夫は動揺の色を隠せなかった。
狼狽える夫に対して、祐子さんはただ淡々と、自分が見てしまったLINEの内容について、その事実を告げるのだった。
RANKING
2
3
4
5
2
3
4
5