不倫中の女性が沼から抜け出せないのは、「いつかは一緒になれる」そんな希望を捨てきれないからだろう。
恋愛において相手を信じることは大事だが、不倫の場合は何をもって相手を信じるのか。お金で相手の愛を量ったり、ただ無心に相手の言葉を信じたり。どのような選択をするかで数年後にはそれぞれ違う末路を辿ることになってしまう。
今回は選択の違いから大きく人生が異なった二人の話をしよう。
※この記事は取材を元に構成しておりますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しております。あらかじめご了承ください。
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ユカとミズキは大学時代からの友人でまさに類友。二人ともアイドル好きで、美人で朗らか。相手と不倫関係になった経緯まで似ていた。
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どちらも相手は入社当初から優しく面倒をみてくれた上司。仕事ができて話し上手なうえ、トラブルが起きた時にはスピーディーに処理をしてくれるのだから、同期の男たちが子どもっぽく見えても仕方なかった。
「こんな素敵な人、他にいない……」
二人はほぼ同時に一回り以上違う大人の男性にどんどん惹かれ、不倫へと足を踏み入れていった。
共通の秘密を抱えたことで二人は妙な連帯感で結ばれ、「道ならぬ恋」についてお互い報告し合った。
交際を隠さなければいけない。ほのめかしてもいけない。
「まるでアイドルと付き合っているみたいだね」
「ポジティブだね~」
そんな軽口を言い合うほど彼女たちにはさほど罪悪感はなかった。あくまでも自分たちは悲劇のヒロインだったのだ。 不倫相手が彼女たちをうっとりさせるセリフも似ていた。
「愛しているのは君だけ」
「妻とはいずれ別れるから結婚してほしい」
ユカの場合、相手の言葉を信じてはいたが、離婚までの目星を具体的には言い渡されていない状況に納得はしていなかった。20代という若さを相手に引き渡しているという自覚があったからだ。
その不安を拭うために高価なものをねだり、相手の気持ちを物で量るようになっていた。
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20代後半に差し掛かると周りがちらほら結婚していくようになり、ユカは焦り始めた。
「本当に離婚してくれるのだろうか」。それを相手に問い詰めるとのらりくらりとかわしながら「もっと高いものを買ってあげるよ」と言ってきた。
もうこの辺ではっきりさせたい。そう思ったユカは100万のバッグをねだってみた。本気で自分と一緒になりたいのであれば、それぐらい用意できるはず。借金でもアルバイトでも何でもすればいいじゃないか、そう思った。
「私の大事な時間を奪っていること、分かっているならカタチで見せて」
本当はバッグなんていらない。ただ待つのはもう限界。相手がどう行動するかを知りたかった。
Text:女の事件簿調査チーム