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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE 「超名医に聞け!」

小児科医が語る「パパの子育て術」。ママにはない「父性」を活用せよ。

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——親を庇う?

「親が悪意から自分を苦しめるわけがない、と信じているからです。 足の指を潰されていても「重い本、落としちゃった」と自分のせいにする。自分が悪い子だから仕方ない。お父さんがお母さんを叩くのは、私がお母さんの言いつけを守らないからだ、と信じている。

  穏やかに微笑みながら「自分のせいだ」と 親を守る。 その心の葛藤は凄まじい。葛藤が続き、それでも虐待が続くと、やがて子どもは表情を失うことになる」

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——やるせないお話で愕然としますが、ごく少数なのでは?

「子どもが 大けがをしたり、亡くなってはじめて大きく報じられますが、それらは氷山の一角です。救急外来に運ばれたり、衰弱して入院患者としてやってくる子どもはずっと多い。 さらに、児童相談所や医療機関が特定できる虐待は一部に過ぎない。なかなか表面化しないのは、子どもが親を庇うからかもしれません。

そんな優しい子どもたちの心理に付け込んで、虐待の加害者たちはますます 増長します。 反省文を書かせ、それを証拠として使おうとした親もいましたね。あなたが悪いから叩いている、いい子にすれば叩かないんだよ、と本人に思い込ませる。支配するための洗脳といえる。虐待を受けた子の心のケアには長い長い年月を要します」

—— 子どもの身体に虐待の痕跡を見つけた場合はどうされていますか。

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「急に熱が出たという理由で緊急外来に連れてこられた子がいました。4歳の男の子で身体にいくつもの痣がある。舌にも火傷の跡がある。お母さんの頬にも痣がある。熱が出たというのは 救急外来を訪れるための口実で、父親から逃れるために違いないと判断し、すぐに入院させ保護しました。父親には入院の事実を伏せ、病室の入り口のネームプレートも違う名前にします。父親とは一切、連絡とらせないようにする。 後に、別居や離婚を勧めることもあります」

——狡賢い父親なら弁護士を連れてきたりしませんか

「親が代理人を使って、面会させろと迫ってくることもあります。突っぱねます。 裁判沙汰にまで発展したこともありました。でも、面会は認めない。 子どもの権利、生命を守るためです。 家に帰してしまえば殺されるかも知れないのに帰しますか。医師は子どもを守るために、その力を存分に発揮すべきです警察が来ても怖くない。弁護士が来ても関係ない。守るべきは、その子の命ですから ある意味、医師も看護師も、父性の強さをもって力を尽くします。もちろん、母性のやさしさをもって被害者に寄り添うことも忘れませんが

後編に続く。

※この記事はFORZA STYLEに2019年7月に掲載された記事を再編集しています。

Photo:Sono Aida
Text:Daisuke Iwasaki

 

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(プロフィール)
1957年、奈良県生まれ。61歳。1982年、慶應義塾大学医学部卒業。35歳でハーバード大学医学部講師を務め、帰国後44歳で教授就任。現在、2万2千人の会員を擁する日本小児科学会会長も務める。趣味はランニング。2016年の東京マラソンで3時間7分の自己ベストを記録。別名、「日本一足の早い小児科教授」。



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