3歳の娘を育てつつ働く佐奈(仮名・39歳)さんの場合
数年ぶりに、戻ってきた “日常”。
これまで我慢してきたことが、少しずつ解禁されていく。保育園のイベントが復活したり、旅行を楽しめるようになってきたのはとても嬉しい。
のだけれど、これまで在宅勤務OKだった会社は、原則全員出社となってしまった。3歳の娘を育てつつフルタイムで働く佐奈(仮名・39歳)は、娘である美里の保育園への送迎や習い事の予定管理・対応などが、大きな負担となってのしかかっていた。
コロナ以前に子どもを保育園に預けて働いていた人は、毎日どういうふうに日々の生活を “回して”いたんだろう?
在宅勤務の間は、それなりに家事と育児を両立し、自分の時間も確保できていたが、毎日出社するようになった途端、自分のプライベートな時間はゼロに等しくなった。
でも、明日は部署の歓送迎会。「仕事ではないけれど、半分仕事のような」行事だからこそ、夜に一人で堂々と外出できる。子どもがいる母親としては “なかなか得がたい” 自由な時間を、久しぶりに満喫しようと密かに楽しみにしている。
夕食後の洗い物をしながら、佐奈は夫の祐介(仮名・39歳)に声をかけた。
「そうだ、明日の保育園のお迎え、よろしくね」
ところが、夫の祐介からは意外な返事が。
「え?明日って何だっけ?俺、取引先と会合なんだけど」
……ずっと前に、口頭で祐介には伝えていた。リビングのカレンダーにもずいぶん前から記入してある。そのカレンダーを祐介はほとんど見てない、ことはなんとなく察していたが、まさか……。
「歓送迎会があるって、前伝えたよね。そこのカレンダーにも書いてあるでしょ?」
「あ、そうだっけ? ゴメンゴメン! でも、俺のほうは超大事な取引先だから、絶対リスケできないし、遅刻も無理なんだよね。歓送迎会だったら身内だけでしょ? 今からでも欠席にできない? こんど代わりにお迎え行くから」
「……わかりました。じゃあ歓送迎会には出ないで、お迎え行くわ。美里〜、明日はやっぱりパパじゃなくて、ママがお迎えね」
「うん、わかったー!」
「いいお返事!」
美里の元気な声がリビングに響く。
二人とも親であり、二人ともフルタイムで働いている。だったら、イーブンなはずなのに、どうしていつも私のほうばかり割を食うのだろう……。
はぁ、と小さなため息をつき、黙々と佐奈は食器洗いを続ける。
いつもこうだ。前もって伝えているのに、すぐに忘れてしまう祐介。いったいどうすればよかったのか? 佐奈は天を仰いだ。
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Text:FORZA STYLE