後編:【毒親の呪縛】父や自分を罵倒する母に、長年苦しめられた女性の「いま」

何気なく答えた彼の言葉。そのひと言が大きく彼女の気持ちを変えてくれるきっかけに。

「私の質問に対し、彼は自分が思うことを素直に話したまでのこと。でも、私はその答えを、『そんな風な考え方もあるんだ』という驚きと戸惑いをもって受け止めました。そしてそのひと言をきっかけに、『私のこと好き？』と訊く代わりに、自分の心の中で、『あなたが私のことを嫌いでも、それでも私はあなたが大好きだ』と思うように心がけたんです。すると、私の中に常に渦巻いていた彼に対する“不安”が少しずつですが薄らいでいったんです」

その後、その彼と結婚し、女の子が生まれたリエさん。娘を持ったことがきっかけで、15年会っていない母親に会ってみたいと思うように……。

「15年も会っていないと、なかなかきっかけもなく……。でも、『娘の顔、見てくれない？』と言える今なら、再会できるかもと思ったんです」

しかし、電話に出た母親は、冷たくこう言い放った。

「来たければ、勝手にくればいい。見せたければ、勝手に見せに来ればいいじゃん」