©Getty Images
自分が救った優と静佳の親子と一緒にいると、雅士は不思議と自分が父親になっているような感覚になった。それは、現実で手が届かなかった家族像を実現しているかのように、雅士の心を温かくしていた。
静佳にとって雅士は、頼れる存在になっていた。何かがあると相談をし、優もとても懐いていた。公園に行ったり、水族館へ行ったり。父親がいることの大切さや安心感をひしひしと感じていた。
そんな二人が肌を合わせるようになるには時間がかからなかった。
それからというもの、雅士は涼子に何かと理由をつけては外出をするようになった。仕事上あまり外泊はできないので、静佳の家で、夜遅くまで一緒に過ごしている。それは、楽しい時間でもあり、3人にとって制約のある切ない時間でもあった。
父親が欲しい娘と、子供が欲しい男。子供が欲しくなかったのにできてしまったシングルマザーと、子供がどうしても欲しかったのにできなかった男。
運命のいたずらは、始まったばかり。どうしたら誰も傷つかずにそれぞれが幸せになれるのだろう。答えは神のみぞ知る。
Text:女の事件簿調査チーム
RANKING
2
5
2
4
5