アーカイブ振り返り。幻のハードトップカブリオレ
1989年に北米でスタートしたレクサス。当時、既に下降線をたどっていたとはいえ、成功者の証であったリンカーンやキャデラックといったアメリカンラグジュアリーを撃墜。あっという間にメルセデスやBMWを猛追し、現在のポジションを獲得しました。
レクサスの日本開業は2005年8月30日。発売モデルはセダンの『GS』と『IS』。そしてハードトップカブリオレの『SC』という3モデル。ココにフラッグシップの『LS』が加わるのは後のことです。
もうじき国内販売18年目を迎えるレクサスですが、昨今の資材不足の嵐がなければイケイケ状態だったに違いありません。きっと町中にレクサスSUVがあふれていたことでしょう。レクサスブランドそのものの歴史は30年以上あり、絶え間なく進化(深化)し続ける地盤は強固。未来のことはわかりませんが、来るべきBEV時代も独自路線を進む気配であります。
さて、そんなレクサスを自動車趣味視点で俯瞰すると、日本市場における18年のアーカイブから気になる一台があります。それが『レクサスSC430』です。このモデル、日本では既にハイソカーとして人気だった『トヨタ・ソアラ』の新型車としてデビューしていたのですが、レクサス上陸時に同ブランドへ編入(車名変更&販売店変更)。つまり、レクサス史上、唯一のダブルネーム車両として記憶されたのでした。
というワケで、日本人にはソアラ、かの地ではSCとして足跡を残すこととなったSC430。心情的にはピュア・レクサスじゃない分、イマイチかもしれません。しかし、個人的には社畜時代にもっとも記憶に残る1台でした。
なぜか? それはレクサス日本発売直前に特集本を作ったから。国内取材不可のタイミングでしたので取材地はアメリカ合衆国。取材先もトヨタのアテンドは依頼せず、ニューヨーク郊外のド級のラグジュアリーカーが並ぶ販売店を訪問。ショールームにはマクラーレンSLRとレクサスが並んでいました。
また、レクサスを売る人と同時にオーナーも取材。場所をLAに変えて東西両極を取材しました。オーナーさんは30歳半ばの起業家だった記憶が……。そのインテリな彼の愛車がSC430であり、とても気に入って乗りまわしていました。