■三平＋はやしや＝林家三平師匠？ の謎に迫る
── お店の歴史について教えてください。
小林幸雄シェフ：新宿を中心に飲食店やスーパー、ホテルなどを経営する三平グループは今年で創業87年になります。元々は氷の卸・販売業として創業致しました。『はやしや』は1949年（昭和24年）創業です。
── 『はやしや』は、以前は『食堂三平』という屋号だったそうですね。命名は落語の林家三平師匠にちなんでですか？
小林幸雄シェフ： そうではないんです。創業者が小林平三でして、元々やっていた生家の商売の屋号が名字から“はやしや”で、のちに名前の平三を逆にして“三平”にしたと聞いています。初代林家三平師匠とは、名前の共通点から実際にCM出演のご依頼をした、というご縁がございます。
── なるほど、そんなご縁が。CMはどんなものだったんですか？
小林幸雄シェフ： 師匠のギャグになぞらえて“安くて、美味しくて、どうもすいません”だったそうです（笑）。それがご縁で、お店にもよく来ていただいたと伺っております。
── あははは、最高のCMですね！ところで、小林幸雄シェフは創業者・小林平三さんのご子息ですか？
小林幸雄シェフ：違うんですよ。名字がたまたま一緒なだけです（笑）。シェフとしては16歳の頃から料理の道に進んだのでもっと長いのですが、三平グループには30年程前から在籍しています。
── 偶然だったんですね、失礼しました。流石のベテランの所作と腕で、「昭和プレート」を美味しく頂きました。「昭和プレート」は復活メニューだそうですね。
小林幸雄シェフ：そうなんです。実はこの「昭和プレート」は、昭和の時代にお店で愛された「Aランチ」と「Bランチ」の、それぞれの人気料理を一皿に集約させたメニューんなんです。昔から通われているベテランのお客様からは“昔、AとBで迷ったから、これは嬉しい！”とお声がけいただきます。二世代三世代でお越しになられるお客様もいらっしゃって、オムライスや他のお料理を同時に頼まれて、分けてらっしゃいますね。
── 素敵なお話です。お客さんの夢を実現した一皿ですね。
小林幸雄シェフ：実はもう一品、「三平ライス」という45年の時を経て復刻したメニューが御座います。ケチャップライスにトンカツの卵とじを乗せて、デミグラスソースをかけたお料理です。
── なんと言うそそるお料理でしょう！ トルコライスのさらに上を行く感じですね。次回は「三平ライス」いっちゃいます！
小林幸雄シェフ：卵とじのトンカツというとかつ丼のようなものをイメージすると思うのですが、甘辛和風のタレには浸けておらず、シンプルにトンカツを卵でとじたものになります。B級グルメ先駆けですよ。
インタビューでは、『はやしや』のお店の歴史や店名に潜む謎などに迫りました。“初代林家三平師匠もこの空間にいたのかなぁ”と、古き良き昭和に想いを馳せつつ、最後に小林幸雄シェフと記念撮影してお店をあとにしました。まだまだ昭和の夢、作り続けて守り続けてください。
新宿に三平グループあり！皆さんの周りにも、あの頃の昭和を守り続けていて、二世代三世代で通いたくなる洋食店があると思います。「洋食」という名の日本の食文化。まだまだ巡ってその想いや歴史、人や町に触れたいと思います。
レストランはやしや
東京都新宿区新宿3-22-12 新宿サンパークビル 5F
03-3352-5519
営業 10:30～23:00
無休
Text：Cook Inoue
Photo：Takuji Onda
Edit：Takashi Ogiyama
クック井上。プロフィール
お笑いコンビ「ツインクル」のクック井上。です！ 芸人でありながら、食のイベントMC・料理教室講師・食のプロデュース等も！ ●フードコーディネーター●ホームパーティー検定●食育インストラクター●野菜ソムリエ●BBQインストラクター●アスリートフードマイスター●こども成育インストラクター●パエリア検定 など食に関する資格も多々あり。
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