■ボディ全体でエアロダイナミクスを稼ぐ
ハンドリングや乗り心地、燃費(電費)といったダイナミックパフォーマンスにおいて、車両の軽量化と共に重要なのがエアロダイナミクスだ。このエレトレは、クロスオーバーSUVとしては異例ともいえるアイテムが投入されている。
「ポロシティ」と呼ぶ、ボンネット上部に空いた2つの穴は、ここから空気を排出し、車の上側へと空気を流して、空気抵抗を下げ、航続距離やダイナミクスを改善する役割を担っている。また、フロントホイールアーチの前方や後方、リアホイールの後方にも、空気の通り道が設けられている。
また、Dピラーの上部には、フローティングピラーを導入している。このフローティングピラーは、サイドガラス表面を流れてきた気流を、3段回で可変するアクティブテールゲートスポイラーに導き、リアの空気抵抗とダウンフォースを稼ぐという。また、空気抵抗を低減するデザインが埋め込まれた、カーボンファイバー混入の23インチのマシンカット分割仕上げ5スポークアロイ、セラミックコンポジット10ピストンキャリパーブレーキもオプション設定だ。
昨今のBEVは、従来のガソリンSUVの延長上にあるデザインを踏襲するクルマが多いのだが、エレトレはそうしたBEVとはひと味違い、エアロダイナミクスで全身を武装している。このあたりは、ロータスのもつ技術力の表れだろう。
インテリアも革新的だ。拡張現実(AR)技術を搭載したヘッドアップディスプレイが標準装備となり、運転に必要な情報はすべてこちらに表示される。ドライバー前方にも、高さ30mmほどのインストルメントクラスターがあるのだが、こちらには、主要車両情報とトリップ情報といった最小限の情報となる。また、15.1インチのランドスケープインターフェイスは、不要な場合にはフラットに折りたたむことができる。
ロータスによると、エレトレは、LiDAR(光による検知と距離測定)技術を世界で初めて採用しており、自律走行も可能になるという。さらには、アクティブフロントグリルや、カメラ式サイドミラーも設定されている。
■価格は1500万円級か!?
エレトレの車両価格は現時点未発表だが、ピュアガソリン車のエミーラが約1350万円であることを考えると、おそらく1500万円にはなるだろう。名門ロータスが開発した、初のクロスオーバーSUV「エレトレ」。2022年後半より、中国に完成した新たな工場にて生産開始の予定とのこと。登場が楽しみだ。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:Lotus
Edit:Takashi Ogiyama