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トヨタのGRとは何か?86、ヤリス、スープラ、カローラ…増殖するラインナップを解説

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

2022年4月1日、かねてから噂されていたGRカローラがワールドプレミアを果たした。エンジンは1.6リッター直列3気筒で、出力はなんと304ps、6速マニュアルトランスミッションで発売するという。カーボンニュートラルの流れとは真逆とも思える内容だが、GRは本気のようだ。

この「GRシリーズ」はカローラのほかにも、いくつか用意されている。ご存じのとおり、「GR」とは「GAZOO Racing」の略であるが、ここで改めて「GR」についてご紹介するとともに、GRがトヨタにおいて果たしている役割について、ご紹介しよう。

 

■本格的な走りを追求した「GR」と、GRの世界観を気軽に楽しむ「GRスポーツ」

「GR」は、トヨタのレーシングチームであるTOYOTA GAZOO Racing直系のスポーツカーブランドだ。TOYOTA GAZOO Racingの活躍の場は広く、有名なレースだけでも、WRC(FIA世界ラリー選手権)やWEC(FIA世界耐久選手権)、ダカールラリー、ニュルブルクリンク24時間レース、国内レースだと、SUPER GTや全日本スーパーフォーミュラ選手権(エンジン支給)、全日本ラリー選手権、スーパー耐久などなど、多岐にわたる。

要は、様々なモータースポーツに参戦するTOYOTA GAZOO Racingが培った技術や経験を、市販車にフィードバックし、スポーツカーを育てていくことがGRの役割だ。

GRのラインアップには、「本気度」の高さに応じて、3段階のヒエラルキーが存在する。非日常の楽しさや華やかさを気軽に味わう「GRスポーツ」、こだわりのチューニングで走りの味を追求した「GR」、そしてGRの頂点に立つのが「GRMN」だ。

様々なモータースポーツに参戦するTOYOTA GAZOO Racingが培った技術や経験を、市販車にフィードバックし、スポーツカーを育てていくことがGRの役割

なかでも「GRMN」は、GR SPORTSやGRとはまったく別物で、モータースポーツ活動の中で見出したアイテムやセッティングを入れ込んだコンプリートカーブランド。GRMNヤリスには、レーシングカーに匹敵する高剛性ボディや、効果的なダウンフォースを生み出す空力性能、専用チューニングされたパワートレインなどを採用しており、レース活動を行っているユーザーのサポートまで行う。

しかも、ソフトウェアやパーツのアップデートを行うサービスもあり、レースに合わせて、GRのノウハウが詰まったセッティングを、自身のクルマへアップデートすることもできる。まるで、自分がレーシングドライバーになるかのような体験だ。GRMNヤリスの価格は731万円~と、標準のGRヤリスの倍近い価格だが、それでも手に入れたいオーナーは多いそうだ。

現時点のGRスポーツのラインアップは、ハイラックスや300系ランドクルーザー、C-HR、コペン、プリウスPHVの5モデルに設定。GRは、GR86、GRヤリス、GRスープラの3モデルに設定、GRMNは、前述のGRMNヤリスのみだ。以降で、近年登場したGRブランドのモデルをいくつかご紹介しよう。

 

■GRヤリス

最高出力272ps、最大トルク370Nmの1.6L直3ターボエンジンを搭載し、4輪駆動に6速MTを採用する、スポーツ4WDだ。エンジンスペックの割には1280kgと軽量なボディのため、加速は実に軽快で、サーキットからラリーまで万能なマシンとなっている。

トヨタがスポーツ4WDを作っていたのは、WRCに参戦していた1988年のセリカGT-FOURにまで遡る。当時の資料を探すことから開発を始めたというGRヤリスは、30年以上の時を経て、2020年に登場した

CVT仕様の「RS(税込265万円)」もあるが、エンジンは120ps/145Nmの1.5L直3NAエンジンへとダウンされており、駆動方式も2WDとなる。サーキットやモータースポーツには興味がなく、GRヤリスのスタイリングを楽しみたいといった方にはいい選択肢となっているようだ。

 

■GR86

初代86から排気量を400ccほど増やした2.4L水平対向エンジンを搭載し、最高出力235ps/最大トルク250Nmへとパワーアップ。「GRヤリス」「GRスープラ」に続く第3弾として、名称を「GR86」へと改称して2021年10月末に登場した。後輪駆動のマニュアルトランスミッション、といった伝統的な装備を踏襲し、ファンを魅了するスペックとなっている

スポーツカーであることを主張するようなロー&ワイドなスタイルのGR86

 

■ランドクルーザーGR SPORT

2021年8月にデビューした300系ランドクルーザーにも、GRモデルが用意されている。ボンネット、ルーフ、前ドアパネルをアルミ化し、最新の溶接技術を活用したことで、剛性向上(従来比+20%)かつ200kgにも及ぶ軽量化を達成。パワートレインは、3.5LのV6ツインターボ ガソリンエンジン(最高出力415ps/最大トルク650Nm)に、Direct Shift 10ATを組み合わせる。前後の専用バンパーやE-KDSS(電子制御のスタビライザー可変機構)、フロントの電動デフロック機構も専用装備する、特別なモデルだ。

ダカールラリーの参戦ドライバーからの要望を反映させたランドクルーザーGR SPORT。前後の専用バンパーやE-KDSS(電子制御のスタビライザー可変機構)、フロントの電動デフロック機構も専用装備する

 

■まとめ

1990年代、スポーツカーといえばホンダや日産のイメージが強くあったものだが、令和になって、トヨタがその役割を果たすとは、当時誰が想像しただろうか。環境性能でも、世界の自動車メーカーをリードするトヨタ。トヨタが日本のメーカーであることを、日本人として誇りに思う。

Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:TOYOTA,GAZOO racing
Edit:Takashi Ogiyama



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