©Getty Images
コインロッカーのような鍵でプラスチックのプレートに35と書いてあった。
「何だろう? 医院にはこんなロッカーないし。何か荷物を預けたのかな?」
その時はあまり気にもとめなかった。だが何日経ってもその鍵は書斎の引き出しにしまってあった。
暁彦は学生時代から友人が多く、定期的に飲み会をしている。結婚した当初は、遥もその飲み会に何度か参加し、友人を紹介してもらった。とても楽しい方達ばかりで、その後も良い友人関係が続いているのを微笑ましく思っていた。
そんなある日、遥は暁彦の飲み友達である鈴木(仮名)を駅で見かけ、声をかけた。
「鈴木さん、こんにちは! 暁彦の妻です」
「どうもお久しぶりです! お元気ですか? いやぁ、声を掛けてもらえて嬉しいです! 最近、暁彦と全然会ってないんですけど、アイツ元気ですか?」
「え……? まあ、夫は元気にしています。最近一緒に飲んでないんですか?」
「そうだな、ここ2年ぐらいは飲んでないかも」
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