「そうではなくて……お姫様みたいなあなたが僕なんかと楽しそうに笑ってくれているのがおかしいと思ったんです。夢のような時間だったなぁ。有難う。あなたは明るくて素直な人だからきっと幸せになれますよ」
孝はしっかり涼子の目を見て言った。
「明るくて素直?」
涼子はそんな風に人から言われたのは初めてだった。孝が別れの挨拶に差し出してきた手を握りながら涙が溢れた。この先誰と出会ってもこの人と比べてしまうだろう。この人と一緒に生きてみたい。
「私はまた会いたいです」
「もちろん僕もです。けれど、ご両親が反対しているのに内緒で会うわけにはいきません」
「家を出ます。覚悟を決めます」
「そんなことをしてもあなたは幸せにはなれない。覚悟は僕がするんです。では、僕はご両親に認めていただけるよう頑張ってもいいのですか?」
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