無理がたたって母は身体を壊してしまったのだ。
「自分の意思で高校を辞めて働くことにしました。当時はそれしか方法が頭に思い浮かばなかった。担任のはからいで運良くゼネコンに就職できましたが、まだ給料は多くはありません。その上、母に仕送りをしています」
今は二級建築士だが、もっと大きな建物を設計するのが夢であり、そのために必ず一級建築士の資格を取ると彼は目を輝かせて断言した。
涼子は言葉が出なかった。さっきの定食屋で、自分を飾り立てて話したことを酷く後悔した。
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