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LIFESTYLE 女たちの事件簿

いつの間にか呼び捨て。姑に洗脳されていた私が感じた違和感と対抗策。

不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

「息子には見せない裏の顔を持つ姑に洗脳された女」の話

いつの時代も変わらない嫁姑問題。同じ女性ではあるものの、育った環境や価値観はまったく違う赤の他人だ。さらに義理とはいえ「親子」になることで上下関係が生まれ、下手をすると支配する側とされる側に陥ってしまうこともある。これが嫁姑問題の大きな原因のひとつではないだろうか。

今回は、息子には見せない裏の顔を持つ姑に振り回され、家庭を壊しかけた女性の話を紹介しよう。

※この記事は取材を元に構成しておりますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しております。あらかじめご了承ください。

「私は義母に洗脳されていたのかもしれません。けれど何より自分の物差しを失っていた私が馬鹿でした」と回想する田崎梨香(仮名)。大恋愛の末に夫と結婚。夫の実家に二人で挨拶に行った日のことは今でもはっきりと覚えているという。


ⒸGetty Images

夫の実家は都内から特急で1時間半ほどの地方都市にある。緊張の面持ちで門を入ると、色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭に目を奪われた。

「いらっしゃい、梨香さん」

そこへ義母が満面の笑みで現れ出迎えてくれた。

義父はすでに他界しており、義母は広い家にひとり暮らし。掃除の行き届いた室内に絵や器など多趣味である義母の作品が飾られ、前向きに自由を楽しむ暮らしぶりが垣間見えた。手料理でもてなしを受け、社交的な義母の話に相槌をうちながら

「こんな奥さんになりたい」

梨香はそう思った。

「私が全部教えてあげるから何も心配いらない。梨香さんなら本家の立派なお嫁さんになれるわ」と義母は笑った。母を早くに失くした梨香にとってこの言葉は強い味方ができたようで嬉しかった。

しかし「立派な嫁」というこの一言が、梨香を何年も呪いのようにしばりつけ、がんじがらめにしていくことになる。


ⒸGetty Images

結婚後ほどなく、梨香が仕事から帰宅すると義母から電話がくるようになった。すっかり打ち解けた頃には、週末に呼び出しがかかるように。「立派な嫁」になるための修行が始まったのだ。

この家での家事の手順、料理の味付けや盛り付け方、風習、しきたりに至るまで義母は熱心に教えた。その中には「実家に帰るたびに近所に手土産を配ること」など、梨香が疑問に思うこともあったが

「梨香はまだ若いから分からない。年を取ったら私の言っている意味がわかる」

義母はそう諭した。いつしか呼び方も「梨香さん」から「梨香」に変わっていた。


ⒸGetty Images

盆や年末年始には親戚が泊りでどっと押し寄せ、「嫁の仕事」は座る暇もないほど忙しかった。

慣れないうちは食事もとれないほどで、残り物で済ませる梨香に「コソコソと台所でつまみ食いするなんて行儀知らずな」と義母は叱りつけた。夫は仕事の繁忙期であるため気遣ってくれる者は誰もいない。

一日中、客や親戚と談笑し、派手に笑っている義母に対して疑問が湧かないわけではなかったが、未熟な自分が「立派な嫁」になるための修行と捉え過ごしていた。


ⒸGetty Images

そんなある日、耳を疑うような出来事が起こった。

いきなり義母から月十万円の仕送りを要求されたのだ。預金が底を尽き、生活を維持するのが困難になったと義母は説明したが、それまでお金に困っている様子はなかったことから梨香はとても驚いた。さらに義母は

「夫が気持ちよく働けるよう生活を整えるのも嫁の仕事。息子が心配するようなことは言ってはいけない」

と固く口止めしたのである。家計のすべてを夫から任せられていた梨香は「なんとかなるかもしれない」と安易に引き受けてしまった。それが間違いだった。

毎月の貯金額を減らしはしたが、夫の実家の必要経費と考えれば、当初はさほど負担には思わなかった。梨香夫婦は二人に収入があるうえ、物欲があまりなく、自宅に篭もって映画やドラマを観ていれば至福という生活を送っていたからでもある。実母に出来なかった親孝行のつもりでもあった。

しかし義母からの要求はその後さらにエスカレート。定期的な仕送り以外にも、分家や近所との付き合い、家電の入れ替え、自宅の修理、香典や祝儀などの名目で気軽に要求してくるように。

夫婦の将来を考えると財政が厳しくなってきた梨香は「パートなどで少し働いてもらえませんか」と頼んでみたが「近所への体裁が悪い」と泣かれてしまった。

「ならば趣味やお付き合いを最小限にして、もう少し仕送り額を減らしてほしい」とお願いすると

「そんなの生きている意味がない。死ねというのか?親不孝者!」

と義母は罵った。それはさすがに義母のわがままだとは思ったが、一人暮らしをする寂しさを紛らわすには仕方のないことかもしれないと自分を納得させた。

金銭問題よりも一番堪えたのは闘病中だった父と最後の正月を一緒に過ごせなかったことだ。

「正月に本家の嫁がいないなんてありえない」

義母はそう言って梨香が実家に帰ることを許さなかった。振り切って帰ればよかったと、この後悔は今も消えないという。

その正月以降、夫の実家へ帰るたびに梨香の身体に異変が現れるようになる。手足に蕁麻疹が出るようになったのだ。脳は騙せても、身体が違うと訴えていたのかもしれない。さらに娘が産まれたことで、子を思う親の気持ちがわかるようになり、同時に義母への不信感を募らせるようになっていった。



ⒸGetty Images

そんなある日、実家の居間に入ると新しい大型テレビが目に飛び込んできた。不景気で収入が減ったこともあり、日々節約を心がけ、独身時代に貯めた貯蓄さえ崩すようになっていた梨香は呆然とした。



「こんなの絶対におかしい」



娘に着せていた中古の服と真新しい大きなテレビを見比べ涙が止まらなくなった。こんな理不尽なことにずっと耐えて生きて行くのかと思うとゾッとした。

「あんな人、大嫌いだ。世界で一番大嫌いだ」

義母への嫌悪感と怒りが溢れ出した。

梨香は夫に全てを話し、そしていきなり離婚を切り出した。義母と夫は絶対に切り離せない、この家のしきたりが受け入れられず義母に逆らうなら田崎家を出ていくしかない、義母にそう教えられ、梨香もそう思っていたからだ。冷静に考えると娘のことを考えない軽はずみな選択だったかもしれない。けれど義母から逃げたい気持ちは、もう押さえられなかった。


しかし、これが思いがけず功をなした。この時初めて現状を知った夫は梨香に謝罪し「すぐに対処するから、離婚なんて言うなよ」と梨香を説得。夫は嫌がる母親から預金や月の生活費について問いただすと、かなりの浪費が判明した。

当然仕送りもストップ。義母はさまざまな言い訳をしたそうだが、頑として梨香を守り、梨香に接近することを禁止した。夫には感謝したが、義母に対しては少しばかりの罪悪感を抱いた。

しかし後日、夫の不在中に義母から電話があり「なぜ約束を破って息子に話した!」と、酷く咎められたことでそれも吹き飛んだ。



「私も反省すべきところはあります。夫に相談することもせず、ただ義母の言いなりになっていたのですから。義母に従っていれば『立派な嫁』になれる、そう思い込んでいたんです」


ときに結婚した女性たちを苦しめる「嫁」という言葉。

仲が良い夫婦でも、徐々に破綻へと向かっている場合がある。あなたは、大丈夫だろうか?   

Text:女の事件簿調査チーム

 

“女の事件簿” 調査チームとは?

「酸いも甘いも噛み分けてきた、経験豊富な敏腕女性ライターチーム。公私にわたる豊富な人脈から、ごくありふれた日常の水面下に潜む、女たちのさまざまな事件をあぶり出します。

「女の事件簿調査チーム」への取材依頼はこちらまで→forzastyle.web@gmail.com



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