■現時点のライバルミニバンは「相手にならない」
新型ノア/ヴォクシーのライバルは、ご存じのとおり、ステップワゴンとセレナだ。ミドルクラスミニバンは、需要が多いことから各社とも力を入れており、ステップワゴンもセレナも、デビュー当時は、その時代の最先端技術が搭載されていた。パワートレインのパフォーマンスや燃費性能も、3メーカーで同じようなレベルであり、顧客側としては非常に悩ましい選択であった。
だがそれは、6年以上も昔のことだ。現在は、新型のノア/ヴォクシーとは比較にならないレベルにまで遅れてしまっている。しかも、新型ノア/ヴォクシーの方が安い(※エントリーグレードの比較)というダメ押しっぷりだ。ちなみに新型ノア/ヴォクシーとステップワゴンは、レーダークルーズコントロールとレーントレーシングアシストが全車標準装備となるが、セレナで同様の装備内容とするには、ガソリン車だと約300万円、ハイブリッドだと約340万円にもなる。
新型ノア/ヴォクシーは、先進技術、パワートレインの性能はさることながら、コストパフォーマンスも高く、現時点で考えれば、ステップワゴンもセレナも、もはや新型ノア/ヴォクシーのライバルともいえない状況だ。
■秘策がないと、最強のノア/ヴォクシーには勝てない
新型ノア/ヴォクシーは、特に先進支援技術を大幅に進化させて、魅力を増してきた。従来の燃費性能や走りの良さも重要だが、先進技術の性能は、ミドルクラスミニバンで勝ち抜くための「キーアイテム」となっている。
年明け早々の1月4日に一部公開された次期ステップワゴンは、ひとまず、車両の利便性に特化した売り込みを魅せてくれたが、まだ全貌があきらかになったわけではない。今後、新型ステップワゴンから秘策が飛び出すような気もしている。
また、未発表の次期セレナは、ノートに搭載した第2世代e-POWERの搭載や、スカイラインやアリアといった上級車向けアイテムのプロパイロット2.0を採用する可能性もある。そうなれば、リモートパーキングなどの先進支援技術も実現可能だ。だがこれらは、どこまでコストを抑えられるかが重要。いくらいい機能であっても、新型ノア/ヴォクシーに対し、20万円、30万円と価格が高くなってしまうようだと、勝負にはならない。
ライバルよりも一足先に登場した新型ノア/ヴォクシー。受注状況は絶好調だという。ライバルたちの次期型が登場するまで、この好調は続くことになるだろう。2022年は、ミニバン市場が面白くなりそうだ。
Text:MMM-Production,Tachibana Kazunori
Photo:TOYOTA,HONDA,NISSAN
Edit:Takashi Ogiyama