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微差じゃ勝てん?ノートオーテッククロスオーバーという異端児は生き残れるのか

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

日産のカスタムブランドである「AUTECH(オーテック)」から登場した、「ノートオーテッククロスオーバー」。これで、ノートファミリーは、ベーシックなノート、プレミアムなノートオーラ、スポーツタイプのノートオーラNISMO(ニスモ)、若さ溢れるデザインのノートオーテック、そして、その車高をあげたノートオーテッククロスオーバー、という5車種にもなった。ユーザーにとっては、選択肢が拡がり、より悩ましくなったことだろう。

ただ、ノートと、ノートオーラ、そしてノートオーラニスモについては、見た目や内装、パワートレインにいたるまで、キャラ分けされているが、ノートオーテックとノートオーテッククロスオーバーについては、それほど違いがないことから、「これ大丈夫か……??」と、心配する声もあがっている。はたして、「大家族」となったノートファミリーのなかで、ノートオーテッククロスオーバーは生き残ることができるだろうか。

 

■ノートAUTECHクロスオーバーは、十分に「新種」

ベースとなるノートAUTECHに対し、車高を25mm程度高められた、ノートオーテッククロスオーバー。フェンダーモールを装備しながらも全幅1700mmに収められたことで、5ナンバーサイズが死守されている。

車高以外の違いとしては、フェンダーの樹脂製のホイールアーチガーニッシュのほか、クロスオーバー専用のアルミホイール、サイドシルプロテクター、といったところで、フロントグリルや前後のバンパー形状はそのままだ。インテリアも、縫い目のないダイヤモンドキルトを施したシート表皮や、至るところにオーテックのイメージカラーであるブルーのステッチがあしらわれ、モダンでオシャレな空間に仕上げられているが、ベースのノートオーテックとの違いはない。

ノートオーテックとの違いは少ないが、十分に新種のクロスオーバーだ

最高出力116PS、最大トルク280Nmを発揮するe-POWERの駆動用モーターは、車重1240kgのノートオーテッククロスオーバーでも、十分な加速が可能だ。4WDではさらに、強力な後輪モーター(最高出力68PS、最大トルク100Nm)も組み合わせられることで、一段と加速が強まる。また、前後のモーターの出力を、繊細にコントロールすることで、泥や砂地でも滑ることなく走行が可能だという。

ベースのノートオーテックとの違いを挙げてしまうと「こんなもんか」と思ってしまうが、クルマは乗って走ってこそ評価できるものだ。ノートオーテッククロスオーバーは、クロスオーバースタイルをまとったコンパクトカーとして、ノートオーテックとはちょっと違う、十分に新種といえるクロスオーバーになっている。

 

■機能や使い勝手ではライバルに敵わない

ベース車の車高を上げたクロスオーバーとしてのライバルは、フィットクロスターだが、戦うべきは、ヤリスクロスや、ロッキー/ライズ、といった、人気のコンパクトSUVたちだ。

まずはパワートレインだが、つい先日、ロッキー/ライズにハイブリッドモデルが追加されたことで、システムの細かな違いはあれど、いずれもハイブリッドモデルを選択することができるようになった。これによって、ノートオーテッククロスオーバーは、ガソリンモデルがない、という弱みが強調されてしまうことになってしまっている。

また、クロスオーバーとして重要な最低地上高については、ヤリスクロスが170mm、ロッキー/ライズが185mmと、ノートオーテッククロスオーバー(145mm)よりも35mm以上も高く、大きめの凸凹道や、雪深い道ではだんぜん有利。両車はさらに、バンパーの下部やサイドシルにブラック樹脂を装着し、実際の地上高以上に高く見えるデザインを採用したSUVスタイルであり、逞しくかっこいい。4WD性能は、主に走り出しで後輪に駆動力を配分する4輪駆動が採用され、雪道や滑りやすい道に対応する。この4WD性能はノートオーテッククロスオーバーのほうがより高いといえるが、「SUVではないクロスオーバーに、はたしてそこまで必要か」とはいえるかもしれない。

また、ヤリスクロスハイブリッド、ロッキーハイブリッドには、アウトドアシーンや災害時に便利な給電システムが搭載されていることも魅力。残念ながら、ノートシリーズには給電用コンセントがついていない。

2021年11月1日に登場した、ロッキー e-SMART HYBRID。人気のロッキー/ライズがハイブリッドという武器を手に入れたことで、さらに人気が出ることは間違いない

このようにみてみると、機能や使い勝手といった面において、残念ながら、ノートオーテッククロスオーバーはライバルに敵わない。ただ、ノートオーテッククロスオーバーは、インテリアの質感が高く、この点に関しては、ライバルよりも優れているといえる。

 

■活躍してほしいが、難しい

ハイブリッド同士で、車両価格を比較すると、ノートオーテッククロスオーバーが253万円、ヤリスクロスが228万円、ロッキーハイブリッドは211万円と、ノートオーテッククロスオーバーは、少なくとも25万円も高額。さらにライバルたちには、車両価格の安いガソリン車があることを考えれば、ノートオーテッククロスオーバーは圧倒的に不利だ。

ノートのクロスオーバーがオーテックから登場した理由はわからないが、クロスオーバーらしさを演出するエクステリアデザインを、ノート(約203万円)をベースに改良し、210万円以下に設定することができれば、ヤリスクロスやロッキーに一矢報いることができたかもしれない。

コスパ最強で、いま最も売れているコンパクトSUV「ヤリスクロス」。残念ながらノートオーテッククロスオーバーでは歯が立たないだろう

コンパクトSUV達との戦いは、難しいと予想されるノートオーテッククロスオーバー。日産そしてオーテックは、次の一手を用意しているのかも、注目だ。

Text:MMM-Production,Tachibana Kazunori
Photo:NISSAN,DAIHATSU,TOYOTA
Edit:Takashi Ogiyama

日産ノートオーテッククロスオーバーの公式サイトはこちら



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