あれから数年。いまだに美和子を避け、必要最低限の会話しかしない娘の態度を「長い反抗期」だと夫は思っている。美和子も「反抗期」なのだ、と自分自身に言い聞かせながら生活を続けている。娘に無視される毎日は針のむしろのようだが、自分のせいで笑顔をなくした娘の姿を見る方がもっと辛い。
娘の笑顔が見たい。でも、娘にとって母親は嫌悪の対象でしかない。美和子は自分の犯した罪の重さを毎日突きつけられている。
なぜ人は失った後にならないと、本当に大切なものに気づけないのか。
「ドラマは観て楽しむだけで十分です……」
美和子は眉をひそめながらそう言った。
Text:女の事件簿調査チーム
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