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LIFESTYLE 愛と悲鳴の婚活道場

【自分の人生は自分で決める】婚活の敵は実父。 深窓の令嬢(38)が一生「家事手伝い」から抜け出せない理由。

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雅美:それまで付き合っていた人や出会う人は、10歳以上年上の経営者が多く、学歴も年収も高かった。彼らは超モラハラで、「お前なんかに何ができる」とか「バカのくせにモノを言うな」など言われていた。

川崎:女性というだけで見下してくる人は未だに多いからね。

雅美:そうなんです。私は英語がネイティブ並みに話せるのですが、私が彼らより上手に英語を話すと不機嫌になる。私も内心、バカにしているから、ぶつかり合うようになる。

川崎:でもあなたが好きになった彼は、そんなことは言わなさそう。

雅美:言いませんでした。常にフラットに私に接してくれて、心から落ち着けたんです。交際1年目に結婚の話が出て、両親に挨拶に行ったんです。しかし、彼が帰ったあと、父は激怒。「あんな男と結婚したら、一生共働きやぞ!」と怒鳴られたんです。母もその横でうなずいていました。

川崎:ご両親にとって共働きは結婚へのマイナス要素なのね?


雅美:周りにはいないですね。そもそも、家のことや子育てをしていたら、外で働けませんし。それに、バリバリ働きたい人は、東京に行きますもん。

川崎:なるほど。

雅美:私、東京にたまに来るのですが、東京は関西人の何倍も速いスピードで動いていると思う。関西人が鈍行(列車)だったら、東京は新幹線くらい。

川崎:うまいこと言うわね。そして彼とはどうなったの?

雅美:なんとなくうまくいかなくなってそれっきり。そのうちに、勤めがしんどくなって、会社もやめてしまって、家事手伝いになりました。

川崎:会社をやめたのはなぜ?

雅美:失恋もありましたけれど、働くのがバカバカしくなったから。親からは「安い給料で働いても意味がない」とか「お前が働くと、(失敗などをして)みんなに迷惑がかかる」などと言われ続けていて、それならもうやめようかなと。

川崎:……雅美さんはご両親のことをどう思っているの?

雅美:好きですよ。父は亭主関白すぎるというか、圧倒的な“家長”です。私、今でも父と敬語で話していますもの。母とは気が合う友達みたいな感じ。2人で海外旅行に何度も行きました。30回くらいしたお見合いも母と一緒に行っていますからね。私と感性が合うと思っています。

川崎:質問ばかりでごめんなさいね。お見合いってお母様と行くの? 私の知っているお見合いは、本人だけで行くものが多いからさ。それに感性って?

雅美:私はきちんとした見合い……つまり、釣書(関東圏では身上書)を交わして、“家同士”という見合いが多いので、相手も親と参加していましたよ。親を見ればその子がわかるじゃないですか。

感性が合うというのは、見合い相手のあだ名をつけるセンスです。私、見合いに本腰を入れたのが29歳と、みんなよりスタートが5~6年遅れた。それゆえにいい人が残っていない。会う人、会う人、すごく特徴的な容姿の人が多かったんです。そういう人に“クマちゃん”とか“おにぎり坊や”とか、そういうあだ名をつけ、母としゃべりながら帰ってくると、見合いが不発でも気持ちが落ち着いた。

川崎:なるほど。お見合いにも文化の差があるのね。話を伺っていると、あなたは結婚したいのかしら? それとも実家にいたいの? そこをハッキリしないと、ぼんやりしたままあっという間に時間が経過してしまうよ。

雅美:え!? 私、どっちなんだろう?

川崎:雅美さんの婚活が前に進まないのは、そこにあるような気がする。言葉はきつくなるけれど、あなたのご両親はあなたを支配している。愛情で言ってることでも支配になることもあるから。おそらくご両親も自覚していないだろうけれど、心の底であなたをいつまでも家に置いておきたいと思っているんじゃないかしら。

雅美:……今、いろんなつじつまが自分の中で合いました。家にいてもできることは、親は200%応援してくれる。習い事も短期留学も親がすすめてくれた。でも、家から出ることに対しては、いい顔をしない。働くことなんてその最たるものですよね。

川崎:あなたは聡明だからうすうす感じていたんじゃないかしら。おそらく、あなたの親はあなたを家から出したくない。おそらく、あなたが一生食べられる分だけのお金も残すだろうしね。それと同時に、あなたは、日本の社会が女性一人で生きるのに厳しいことを熟知している。年齢を重ねてひとりならなおさらの事よね。あなたは親から「世間体が大切だ」と教えられているからさ。

雅美:ドキ! ズガーンってきました。怖い……そんなこと誰にも言われたことない。言われてみて気が付きました。

川崎:ねえ、これは真剣によく考えて答えてね。あなたは何を失うのが、一番怖い?

雅美:…………わからないです。何もわからない。

川崎:まあ、ゆっくり考えようよ。これを明確にしないと、占いに大枚をはたいたり、不毛な恋愛を繰り返したりしちゃうかもしれないからさ。

雅美:ぎゃーーーーーーーーーーー!!!

川崎:どうしたの?

雅美:やってます。占いにハマっているし、マッチングアプリでの恋愛にもハマっています。ドラマティックな恋というのは、アプリで出会った人との恋が多く含まれます。これは誰にも言えなかったんですけど、なんで知っているんですか? 私のことを見ていたんですか?

川崎:自分の“不安の正体”がわからない人は、自己矛盾をかかえて同じ場所をぐるぐるする。それが苦しくなると、占いにすがったり、マッチングアプリの“イイネ”数に救いを求めるの。占いもマッチングアプリも、明確なゴールがあればいいのだけれど、不安を紛らわすために利用すると、中毒性が高い薬物のようになる。

雅美:(放心状態)“当たる”という占い師に、100万円以上払っています。

川崎:まあ、それも勉強代。あなたの場合は、婚活の前に不安の正体を探らないと。そこを明確にすることで、婚活も人生もグッと前進する。

雅美:今、ゴッテゴテに塗っていた厚化粧を落としたような気分です。

川崎:よかった。今、すごくいい顔をしているよ。ところで何を失うのが怖い? 私が思うに、「親がもたらす安定した生活」という気がしなくもない。あなたのことだから、親の事業を手伝って仕事をしているだろうしね。

雅美:その通りです。私は英語がかなりできるので、親の事業のうちでも、海外とのビジネスの交渉担当や、契約書の精査などを担当しています。それに、それなりの額のお金を毎月渡され、欲しいものは外商がなんでも持ってくる。10年待ちと言われているバッグも、ウチが頼めば2週間で届きます。私は何代にもわたって築き上げた信用の輪から出るのが怖い。

川崎:鉄壁の要塞で守られた、楽園の中でずっと暮らしている。しかし、外に出れば、阿鼻叫喚の戦場。セクハラ、パワハラ、モラハラに晒され、一生働いても家を1軒持てるか持てないかわからない低賃金だしね。でも、戦場もいいのよ。よほどのことがないかぎり死なないし、前に進めば進むほど、戦士として成長できる。



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