帰ってきたIS500は想定外の進化を告げる
仕事柄、日々自動車メーカー各社のメディアサイトを巡回チェックしているのですが、レクサスのUSAサイトに新型Fスポーツの登場を予告するリリースを発見。
レクサスの場合、各国のアナウンスが共通しているケースがほとんどですが、なぜかこの情報が日本のメディアサイトに未掲載。最終アナウンスは2020年の販売実績のレポートのまま。一応、クルマ談義のネタにシェアしますね。
●2020年1~12月の主要地域別の販売実績(2019年対比)
北米約 29.7万台(91%)
中国約 22.5万台(111%)
欧州約 7.1万台(81%)
日本約 4.9万台(79%)
中近東約 2.7万台(82%)
東アジア約 3.2万台(92%)
●2019年1~12月の主要地域別の販売実績(2018年対比)
北米約 32.5万台(100%)
中国約 20.2万台(125%)
欧州約 8.7万台(114%)
日本約 6.2万台(113%)
中近東約 3.2万台(108%)
東アジア約 3.4万台(108%)
リリース上は2020年の実績でまとめられているのですが、前年データも補足しておきます。2018年~2020年の3年間で見れば、コロナ禍の2020年は2018年の数字に戻った感じでしょうか。ただし、ワタシが危惧するのは2021年の前半戦です。自動車メーカー各社の販売を牽引してきた中国市場がこのまま上り調子? ということ。
さて、ハナシを戻しましょう。個人的にはスポーツ系モデル大好き人間ですから、早々にレクサスのYouTubeチャンネルでリマインダー設定。公開当日を待ちます。そして、世界中のレクサスファンと共にチャットで盛り上がりつつ待機すること3分。
モニター上に登場したのは見慣れたレクサスIS? いやいや違う、500だ! ああ~戻ってきたのね!! ブリッピングで奏でるエキゾーストノートが心地よく野性味ビンビン。
クルマはガレージを出て荒野のなかを走ります。しかし、ドライバーは突如止まり、ドライブモードをチェンジ! 一般道が突如サーキットに変わり、後輪から白煙を上げてドリフト走行……で動画は終了。
この間わずか2分15秒ですから、固唾を飲んで待っていたレクサスファンは早々に解散を余儀なくされます。プレスカンファレンスじゃないので、まあ仕方ないかと思いましたが、せめて5分は上演してくれないとなぁ……。
2月23日の公開から1週間。このオールドスクールな演出のIS500の動画は、ワタシが確認した時点で視聴回数218,915回、高評価6557、低評価80。今となってはコンパクトなボディに自然吸気5リッターV8エンジンを搭載したセダンは、マニア向け嗜好品であることを物語ります。
ちょっと拍子抜け状態でプレスサイトに戻ると、米国版(英語版)のみ正式リリースがありました。この『LEXUS IS 500 F SPORT PERFORMANCE』はFスポーツパフォーマンス・ラインの第一弾であることが判明しました。つまり、車種にもよるのでしょうが、標準車よりスポーティな意匠と装備をおごった『Fスポーツ』というグレードとは、明確に一線を画していくということなのだと思います。
これをメルセデスに例えると、FスポーツはAMGライン装着車。BMWならMスポーツというグレードになります。つまり、Fスポーツパフォーマンスは、メルセデスAMG、BMW Mと同義語と解釈して良さそう。
『LEXUS IS 500 F SPORT PERFORMANCE』は4本出しのクワッドマフラーが物語るように、パワーユニットからインストルメントパネルに至るまで、すべてが通常ラインナップと異なります。プレスリリースにはパワーユニットを収めるフェンダーやボンネットフードまで長く出来ているそうですから、鼻先から隔壁まで、フロントまわりは別構造(新設計)の可能性は大きいと思われます。
発売時期は秋口後半といいますので、海外では2022年モデル。日本の発売時期は10月あたりでしょうか。秋口はレクサス恒例の年次改良のタイミングと一致しますので、既存のISもさらにアップデートが見込まれます。
現状でパワーユニットの公表スペックは、最高出力472hp / 7100rpm、最大トルク535.5Nm / 4800rpmとあります。運転支援装置など電子デバイスは最新版でしょうから、レクサスファンは期待していいと思います。
ただし、時期的には先ごろ発表されたメルセデスの最新CクラスやBMWのM3と戦わねばなりません。新鮮さにおいてISは劣勢な部分もありますが、どうなることやら。今後の展開に注目していきたいと思います。
Text:Seiichi Norishige