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LIFESTYLE 洋食天国

本当にエモい店はここにある! 出会っちゃいけない両者がタッグを組んだ「竹橋タカサゴ」のカツスパゲティー

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料理芸人のクック井上。による、“飲食店は開店してから、2年以内に半数が閉店に追い込まれる”というデータがある中、何十年もの間、お客に愛され続けてきた洋食屋さんを巡り、その想い、歴史、人、町を知る連載コラムです。

料理芸人のクック井上。です!
 “飲食店は開店してから、2年以内に半数が閉店に追い込まれる”というデータがある中、町には何十年もの間、お客に愛され続けてきた洋食屋さんがあります。そんな老舗の洋食屋を巡り、その想い、歴史、人、町に触れる連載コラム【洋食天国】

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vol.12は、東京メトロ竹橋駅から直通、毎日新聞社東京本社が入っているパレスサイドビルB1にある、『タカサゴ』にやって参りました。

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看板に “カレーの店”の文字が見えますが、実際は洋食全般を扱うお店。その豊富なメニューで、近くに勤めるサラリーマンや大学生、新聞記者やジャーナリスト、ラジオ収録で訪れた芸能人たちの胃袋を満たしてきました(以前、ラジオ収録で訪れた、明石家さんまさんにもよく出前していたとか!)。

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店頭の、食品サンプルが並ぶショーケースがなんとも昭和で、ワクワクが止まりません。世の中、“エモい”なんて言葉が飛び交いますが、本当のエモさがここにあります

と、ここで大ニュース!
こちらお店の歴史は、いまショーケースから感じた“昭和感”どころではなく、江戸時代からとのこと。 にわかには信じがたい話ですが、その話は食事の後のお楽しみ……。まずは、腹ごしらえと参りましょう。

今回オーダーするのは、ネーミングを聞くだけでニヤニヤ笑顔が止まらない「カツスパゲティー」


特別に厨房の中に入れて下さるとの事で、潜入取材開始!

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ご案内してくださるのは、熊谷浩晃シェフ
なんと、12代目との事!(そのお話を聞きたくなってしまいますが、何は無くともまずは腹ごしらえ)

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「カツスパゲティー」のカツは、薄目の豚ロース。

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こちらを揚げている間に、街の洋食屋さんならではの茹で置きスパゲティーを炒めていきます。

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年季の入った鉄のフライパンにサラダ油をひいたら、玉ねぎのみじん切り・ミックスベジタブル・茹で置きスパゲティーを入れ、下味をつけながら強火で炒めます。

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年季の入った鉄のフライパンならではのいい香りが鼻をくすぐります。と言っている間にカツが揚がったようです。

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サクサクと切って、炒めあげたスパゲティーにON。

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さらにココにかけられるのがミートソース!

うわー、ななななんじゃこりゃ!
カツとミートソースのハーモニー、出会っちゃいけない両者がタッグを組んでしまった……。

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そして、粉雪の如くかけられるチーズ。

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カウンター越しに、受け取りました「カツスパゲティー」がコチラ。

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おっとっと、溢れる&こぼれるー!
なんてったって、大盛りスパゲティーにカツが乗って、そこにこれでもかの量のミートソースがかかって、穏やかじゃない画力です

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早速、食品サンプルの上をいく量をグルっと巻いてリフトアップし、ここからは、がっつきTIME開始!

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美味~い! 炒められた事によって、油の甘さと香ばしさを纏ったスパゲティーに、挽肉と野菜の素材感と旨味たっぷりのミートソースが絡んで、最高に懐かしくもなかなか出会えないクオリティの極上ミートスパだ!

それもそのはず、ミートソースの挽肉は牛と豚の合い挽き肉を使っているらしいのですが、そこに鶏ガラスープや鶏ガラのお肉もプラスしてるんですって。

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牛豚鶏の3大肉の旨味が、文字通り三位一体となって舌と脳を大満足させにかかって来ていたとは。さらに、そこに野菜のしっかりとした素材感も相まっているわけですから、この美味さ納得です。

さて、ここからが「カツスパゲティー」の真骨頂。
端っこはカリッと、真ん中はミートソースを吸ってしんなりしたカツとスパゲティーを同時に頬張るという暴挙に出ます。

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もう、溜息しか出ない……。いや、感動で涙が出てきた。
これは、初めて食べた人も、昔からお世話になっていた錯覚に陥るほど舌と身体に馴染む奇跡の組合せだ。
コクがあるのに全くしつこくないというのも凄い。
最初にこのお皿を手渡された時は、一瞬その量に度肝を抜かれたが、食べ始めたら意外にもスイスイ入っていく。

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味変として、時にはソースをかけてスパイシーさと酸味を加えるも◎でしょう。

誰もが、自然と笑顔になってしまう悪魔の「カツスパゲティー」
ほら、46歳のおじさんがこの通り。

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その魔力によって笑顔でスイスイ食べ進め、あれだけあったスパゲティが最後のひと口。
頬張ると、この上ない満足感を感じつつ、名残惜しさも襲ってきます……。
あー、食べ終わっちゃった(ここまでたったの8分!)。

“大盛りにしといたらよかったかな? それは流石に食べすぎか? いや、大盛りでも食えたな!”

なんてことを思いながら、あれだけ食べて、なぜか腹八分目に感じてしまう、悪魔の「カツスパゲティー」完食です。

さて、序盤に書きましたが、にわかには信じがたいのですが、竹橋『タカサゴ』の歴史は江戸時代から続くという……。
これはシェフに聞かねば!

 

江戸から続く、竹橋『タカサゴ』の歴史に迫る!
 

── こちら、江戸時代からの歴史があると聞きました。何代目なんでしょうか?
熊谷浩晃シェフ
 洋食スタイルになってからは2代目なのですが、代々の商売としては1650年(慶安3年)からなので私で12代目です。

── 12代目!? 370年間も、跡継ぎが途絶えなかったというのは凄いですね。
熊谷浩晃シェフ
 『高砂屋』は代々続く女系の家系で、跡継ぎの男は全て養子として迎えていました。うちに男がいても全員養子に出していたそうです。祖父の代まではそうして継いできたのですが、11代目の父・熊谷晃一の代からは実子が継ぐようになり、母(11代目の奥様)が初めて嫁いで来たんです。ちなみに、9代目の丈之助は、江戸川区のある家から養子に来たのですが、江戸川区の1/3の土地を持つ大地主の息子だったそうです。

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── また、とんでもない話が飛び出しました。おそらく、養子というのは、当時の老舗の暖簾を守るための工夫だったんでしょうね。貴重なお話しです。ちなみに『タカサゴ』の前は、代々どんなご商売をされていたんですか?
熊谷浩晃シェフ
 初代・高瀬屋七兵衛が、1650年(慶安3年)※に神田で一膳飯屋『高瀬屋七兵衛』を創業しまして、江戸時代はずっと一膳飯屋を営んでいました。明治時代からは『高砂屋』と縁起の良い屋号に変わり、第二次世界大戦中にかけて官公庁(大蔵省主税局など)の外食券食堂を経営。戦後は和食屋として宴会なども受けておりました。その後、父が1971年(昭和46年)に『タカサゴ』を開業しました。

── 長い歴史の中には、来られたお客様の中に歴史的人物も居そうですね。
熊谷浩晃シェフ
 江戸時代の幕末に、新撰組局長の近藤勇が『高砂屋』に食べに来たというのは、父親が祖母(曾祖母)から聞いた話らしいのですが、“店に来たことあるよ!”と言っていたそうです(笑)。

── もう、お話が異次元です。近藤勇をタイムスリップさせて、『タカサゴ』の洋食を食べて欲しですね。先代はどちらで洋食を修行されたんでしょうか?
熊谷浩晃シェフ
 当時、このビルの9階にレストラン『アラスカ』というお店がありまして、そちらで修行しました、私も『アラスカ』の他の店舗で修行しました。その後、うちの親戚がこちらのビルの関係の仕事をしていた縁で、この地で開業しました。ここに入る時に、他のお店の業態と被らないよう、名目上“カレーの店”として出店した経緯があります。

── 「カツスパゲティ」という個性的なメニューが生まれたきっかけを教えて下さい。
熊谷浩晃シェフ
 元々「カレー」「カツカレー」「ミートソーススパゲティ」はメニューにありましたが、「カツスパゲティー」はありませんでした。ある日常連さんから“ミートスパゲティーに「カツカレー」のカツを乗せてくれないか?”というリクエストを受けまして、「カツスパゲティー」が生まれました。スパゲティにカレーがかかった「スパゲティ インデアン」も同様、お客さんからのリクエストでメニューに加わりました。

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── そうだったんですね! とても懐かしい味で美味しかったです。忘れられなくなる味です。
熊谷浩晃シェフ
 毎日新聞社に勤めてらっしゃった方が小さいお子様を連れてこられて、そのお子様が大人になっても常連さんになって下さったり、有難いです。どんなに地方に転勤になっても、東京に来たら必ず寄るというお客様も多いです。「カツスパゲティ」の人はずっと「カツスパゲティー」、「スパゲティ インデアン」の人はずっと「スパゲティ インデアン」、「平目のフライ」の人はずっと「平目のフライ」という方が多いです。

── 忘れられなくなって、偏愛型の方が多いというのがわかります!「カツスパゲティ」のミートソースが、とても味わい深く、コクもあって美味しかったです。
熊谷浩晃シェフ
 実は、うちのミートソースは少し変わっています。カレーと同様、小麦粉を使ってトマトペーストルーを作ってから、ミートソースを作っているんです。そうする事によって、腹持ちも良いんです。

── 記者さんなどが、時間の無い中でサッと食べられて腹持ちも良いというのは嬉しいですね。ちなみにテイクアウトはされていますでしょうか?
熊谷浩晃シェフ
 確かにコロナの最初の頃は、お客さんが減って大変でしたが、やはりこの雰囲気で食べていただきたいので、うちはテイクアウトはしていません。カウンターで、お一人様で声を出さずに食べている分には、飛沫も飛びませんし、リスクは少ないと思います。不要不急の外出はできない世の中ですが、何かのついでに寄っていただければ幸いです。

いやぁ、出て来るお話、全てがまるで歴史絵巻。夢見心地で、タイムスリップしたような気持ちで聞き入ってしまいました。

今、どの飲食店も大変ですが、『タカサゴ』はありとあらゆる動乱や困難を乗り越えてこられました。古くは江戸四大飢饉、明治維新、スペインかぜ、関東大震災……昭和と平成でも、第二次世界大戦、バブル経済の崩壊、リーマンショック、東日本大震災……。

だから、令和の新型コロナ禍もどこ吹く“かぜ”、『タカサゴ』は落ち着いています。
370年間、歴史を繋いできたという穏やかな自信で、『タカサゴ』の歴史はこれからも続いていきます。

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12代目・熊谷浩晃シェフ、お母様、貴重なお話を有難う御座いました。

皆さんにも、「何十回食べても、何百回食べても飽きない」「クセになるのにホッとする」そんな“思い出の洋食屋”があるのではないでしょうか? 日本人みんなの憧れの「洋食」という名の和食文化、まだまだ東京のあちらこちらに有りそうです。
巡って、その想いや歴史、人や町に触れたいと思います。

タカサゴ
東京都千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル B1F
03-3214-2520
営業時間 月~金11:15〜19:00(準備中14:30〜16:00)
定休日 土日曜
・祝日営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。

Text:Cook Inoue
Photo:Takuji Onda
Edit:Takashi Ogiyama

クック井上。プロフィール
お笑いコンビ「ツインクル」のクック井上。です! 芸人でありながら、食のイベントMC・料理教室講師・食のプロデュース等も! ●フードコーディネーター●ホームパーティー検定●食育インストラクター●野菜ソムリエ●BBQインストラクター●アスリートフードマイスター●こども成育インストラクター●パエリア検定 など食に関する資格も多々あり。
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