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【トヨタアルファード】ギラついてて下品!と言う前に、ナゼこんなにも売れているのかを知ってみよう

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

アルファードばかりがなぜモテる!?

「ギラついてて、下品」 「エンジンしょぼいのに‟高級車”って(笑)」 「デカくて邪魔」――。

先月(2020年10月)の登録車販売台数で、ヤリス、ライズ、ルーミー、カローラに続く堂々の5位にランクインしている、トヨタ「アルファード」。人気の一方で、嫌いな人からはとことん嫌われている存在だ。

好き嫌いはしょうがない。人の好みはさまざまだ。しかし、食わず嫌いはよくない。クルマ好きならば、しっかりとその中身を知ったうえで「でも自分は買わないけどね」という、判断をしてほしい。ということで、本稿では「アルファードの魅力」をお伝えしていこうと思う。

■清潔感とチョイ悪が絶妙にバランスされたスタイリング

現行型アルファードは2015年に発売された3代目。巨大なフロントグリルをもつアルファードは、若い方にも、ファミリー層にも、ちょっと頑張れば手に入る豪華なミニバンといった位置づけの、7/8人乗りのラージサイズミニバンだ。室内は広く、特に2列目のシートを後ろに引いたときには、まるで、飛行機のファーストクラスのように、足を前に真っすぐ伸ばせるほど。

2018年のマイナーチェンジで、アルファードは、大人しい印象のフロントマスク(とはいえ縦型グリルはメッキでギラギラだったが)から方針転換し、ヘッドランプ内をブラックアウトとし細目化、ブラック塗装とメッキをうまく組み合わせたフロントグリルとなった。これによって、以前よりも、清潔感とチョイ悪の要素が混ざった、絶妙なバランスとなった。これが大いに受け入れられ、このマイナーチェンジ以降、販売台数を伸ばしている。特に、エアロ仕様による厳つさが引き締まって、程よくカッコよい。

トヨタアルファードの外観特別仕様車のS ‟TYPE GOLD”(税込424万円〜)は、フロントグリルやボンネットフードモール、バンパーモールにスモークメッキ+黒メタリック塗装、18インチホイール、ゴールドの専用フロントエンブレムなどを装備したお買い得仕様だ

■インテリアは一見の価値あり、後席は必ず座ってみてほしい

アルファードの後席には、ぜひ一度、座ってみていただきたい。ミニバンやSUVでは味わえない、圧倒的な広さからは、「後席に乗って移動するならばこれがベスト!」だと感じられるはずだ。3列目でも窮屈さはなく、長時間の移動も快適、ノアやヴォクシーのようなミドルサイズミニバンと比べるまでもない。

2列目のシートは、3段階ある。グレード毎に呼び名が変わり、上から「エグゼクティブラウンジシート」、「エグゼクティブパワーシート」、「リラックスキャプテンシート」と、シートサイズや本革の素材、パネルの質感、といった豪華さが変わる。

なかでも、アルファードの最上級グレード、エグゼクティブラウンジに備わる「エグゼクティブラウンジシート」は、「極上の心地よさを叶えたセカンドシート」という名の通り、驚くほど豪華だ。上質な肌触りのプレミアムナッパ本革シートや、電動で前後140ミリの伸縮調整が可能なパワーオットマン、工芸品の味わいを持たせた3D木目調パネルや金属調素材をあしらった格納式テーブルなど、ミニバン界のファーストクラスといえるほどだ。

アルファードが好きか嫌いかは関係なく、この2列目シートには、ぜひ一度、座ってみてほしい。おそらく、多くの人が、この世界観の虜になるだろう。

トヨタアルファードの多彩なシート素材車内の広さは当然のこと、シートに使われている革素材や、手で触れる部分の細かな作り、質感など、グレード毎に異なる

■「背の高さ」からくるオーラがあふれ出るアルファード

アルファードは、クルマ全体のスタイリングから溢れる「威厳」が、他社車を圧倒している。その「威厳」の主な要因は、背の高さにある。

しかし、背高の高いクルマは、必然的に車両重心が高くなり、さまざまな悪影響を及ぼす。コーナリングではボディの傾きが多くなり、不安定さが増す。また、表面積が大きいことで横風の影響を受けやすくなるし、空気抵抗も増えるため、燃費も悪い傾向だ。そのため、自動車メーカーのエンジニアとしては、「クルマは背が低くなければ」と考える。

ホンダのオデッセイや、かつて存在したエリシオン、そして日産のエルグランドは、背高による弱点を解消しようと考え、背が低くても、室内空間は最大限確保できるよう、技術とアイディアで乗り越え、「背が低いミニバン」を目指した。

しかしアルファードは、背高であることのメリットのほうを重視した。背高によるデメリットに対しては、リアのサスペンション形式を変更したり、トレッドやホイールベースを広げたり、軽量化をしたりと、できる限りの対策を行った。そのためアルファードは、でこぼこした道でボディが左右にユサユサと大きく揺れることはあるが、穏やかなボディモーションとなるように、乗り心地がコントロールされている。

しかも、ハンドル操作をアシストするLTA(レーントレーシングアシスト)や、ミリ波レーダーと単眼カメラにより「ぶつからない」をサポートするプリクラッシュセーフティなどによる優秀な先進運転支援の恩恵もうけ、高速直進性はしっかりと確保されており、乗り心地の雰囲気と合わさって、「これがアルファードだ」、と納得させられる世界観がある。

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トヨタアルファードのド派手なフロントフェイス凛とした清潔感のあるフロント周りは、現行アルファードがヒットしている理由の一つ。ギラギラフェイスをつづけたヴェルファイアとは対照的に、ド派手なフェイスが答えではないことを示しているのだ

アルファードのつくりあげられすぎた世界観が嫌い、という方も多いだろう。だが、買う買わないは別として、クルマ好きならば、ぜひ一度はアルファードを生で見て、運転席や後席に座っていただきたい。筆者も、どちらかというとセダンタイプのクルマが好きな部類だ。ミニバンが便利なのはわかるが、おそらく一生ミニバンは買わない。しかし、アルファードは、「これはこれでアリかもな」と思ってしまうくらい、魅力的なクルマだ。

いま日本一売れているミニバン、「アルファード」の世界を体感し、見直してもらう機会になればと思う。

トヨタ・アルファードについてはこちら

Text:Kenichi Yoshikawa
Edit:Takashi Ogiyama
Photo:TOYOTA

吉川賢一の顔写真吉川賢一(自動車ジャーナリスト)1979年生まれ。元自動車メーカーの開発エンジニアの経歴を持つ。カーライフの楽しさを広げる発信を心掛けています。


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