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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION 干場の「エロサバ」

自分らしい装いで、相手に最大限の敬意を払う

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積み重ねた経験や鍛錬が、大事な場面で自信を生むのです

前回は、ヨーロッパのクラシック好きなオジサマたちを取材するときのブレザースタイルを紹介しましたが、ここでは相手がさらに目上の人の場合。

例えば、ロロ・ピアーナ創業家一族の故セルジオさん&ピエール・ルイジさんのご兄弟や、トッズ・グループの会長兼CEOのディエゴ・デッラ・ヴァッレさんとの会食など、絶対に間違ってはいけないシーンに臨むときの干場流スタイルをお教えします。

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アイテム

スーツ/B.R. SHOP
シャツ/アルコディオ
ネクタイ/タカシマヤ スタイル オーダーサロン
チーフ/ムンガイ
ベルト/ジョンロブ
時計/パテック フィリップ
リング/アスプレイ
バッグ/エルメス
ソックス/グレンクライド
靴/WH

ファッションに携わる編集者をしていると、普通はまずお目にかかれないような人たちと接する機会があります。なかでも、僕に大きな影響を与えてくれたのが、ロロ・ピアーナの故セルジオさん&ピエール・ルイジさんご兄弟と、トッズ・グループの会長兼CEOのディエゴ・デッラ・ヴァッレさん。

この3人は服装が素敵なことはもちろんですが、生き方そのものがとにかく素晴らしくて、心の豊かさこそが人生では最も大切な財産だと僕に教えてくれた師匠でもあります。

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そういう人たちにお会いするときは、今でもやはり緊張します。それは彼らが、何が美しくて、何が上質なのかという、洋服の本質を熟知しているうえ、着ているものを通してこちらの人間性まで見透かしている気がするからです。

19世紀フランスの政治家で、美食家だったブリア=サヴァランは、「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人か言いあててみせよう」という有名な言葉を残していますが、まさにそんな感じ。彼らはパッと見ただけで その服がどんな素材でできているのかわかってしまうし、ましてやブランドやトレンドが どうこうという言い訳は通用しません。

だから“アンダーステートメント”の精神が大切なのです。控えめな上品さが本物のお洒落だという感覚は、英国紳士独自のものというイメージがあるかもしれませんが、アッパークラスの人たちの間では、それは世界共通の常識。華美なものは野暮、本当にクオリティのいいものは見せびらかす必要がないのです。

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そのうえで、僕が大切にしていることがもうひとつあります。それは、自分らしく装うこと。そうすると、やっぱり着慣れたもののほうが、気持ちが落ち着くんですよね。

ビジネスマンには、これを大事な仕事における場面に置き換えてもいいでしょう。一世一代の大舞台で成功するためには、同じことであっても何十回、何百回と繰り返して自分の強みに磨きをかけますよね。

つまり、そういう自信や経験、そしてアスリートのような鍛錬が、自分を奮い立たせるだけでなく、相手からの信頼獲得につながると思うのです。それが僕にとってはグレースーツ、すなわち勝負下着となります(笑)。ここでは便宜上、同じスーツと書きましたが、正確には同じ“ように見える”ですね。

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僕の場合、グレースーツのなかに、仕立てや素材、デザインによって松竹梅が存在します。そして、その松のなかにも男性的なシルエットを強調したパワースーツもあれば、自然体でいられることを重視してオーダーした一着もあります。

で、ここで着ているのは後者のほう。僕が僕であるために(by 尾崎豊)、B.R.SHOPで別注した干場スペシャルモデルです。

B.R.SHOPのセットアップスーツは、2014年に初代をつくって以来、定期的に微調整しながらアップデートしているのですが、これは4年ほど前のバージョン。生地には、ナポリの名門マーチャント、カチョッポリのウールにカシミアをブレンドしたフランネル素材をチョイスしました。伝統的なフランネル素材だと少し硬めのタッチが多いのですが、英国のそれとは違う色気が欲しかったんですよね。

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ジャケットの肩は、若干シワの入る程度のマニカ・カミーチェ仕様に。軽さを損なわないように芯地は最小限にしながらも、胸は多少厚く見えるように設計しました。あと、パッドを入れているのがあからさまにわかると頑張っている感じがするので、僕の特徴でもある、なで肩がきれいに見えるナチュラルショルダーを基本にしています。

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その他のディテールは、Vゾーンが広く見える段返り3ボタン、腰にはチェンジポケット付きで、スラックスは2プリーツ入りと、オーソドックスでありながら、自分の体型にジャストフィットすることを心がけました。

コーディネイトはいつものようにモノトーンで。そこに、ナロータイと厚底のストレートチップで僕らしさをトッピングしています。

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ただ、それも相手によりけり。ロロ・ピアーナ兄弟やディエゴさんとは面識があり、僕のことを多少なりとも知っているので、こういうアレンジを加えましたが、初対面の場合だともう少しフォーマルに見える内羽根式の正統派ストレートチップを選ぶでしょうね。

洋服はコミュニケーション手段ですから関係性を配慮して、バランスをとることが必要。伝えたいのは相手への敬意なのですから、自分よがりになってしまうのは絶対にいけません。繰り返し言いますが、大事なのは、やり過ぎないこと。

そう、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」なのです。

いち早くコロナが収束することを願い、 #STAYHOME  #お家にいよう


今回のスタイルのキモは……。

●毎日、同じようなスーツを着ていると着慣れてくる(はず)。
●そこで試行錯誤した経験や鍛錬が、大事な場面で自信を生む。
●上質な素材のクラシックスーツはどんな場面でも最強。
●本文に書かなかったけど、金具はゴールドにして少しだけエロスを注入。
●いまは、お家にいよう。


Photo: Ikuo Kubota (OWL)

Styling&Model:Yoshimasa Hoshiba


6冊目の書籍が発売しています。洋服から、ジュエリー、腕時計、ライフスタイルまで。僕が日頃から愛する大人の男女におすすめしたいブランドの逸品について書いています。読んでない方はぜひ!

干場義雅が愛する
「究極のブランド100+5」(日本文芸社)

5冊目は、1冊目の書籍の内容を改稿し、本質的な服装術を知らない新社会人から肩書きを持つ大人まで使える身に纏う処世術について書いています。読んでない方はぜひ!

世界のビジネスエリートは知っている
「お洒落の本質」(集英社文庫)

4冊目の本では、女性のエロサバなスタイルについてまとめています。女性はもちろん、男性が読んでも面白いのでぜひ。奥様にもすすめてくださいね。

干場義雅が語る

「女性のお洒落」
(ディスカバートゥエンティワン)

3冊目の書籍は、難しいとされる大人のカジュアルスタイルについて書いています。読んでいない方はぜひ!

干場義雅が教える

「究極の私服」
(日本文芸社)

2冊目の書籍は、色気についてです。
普通に見えて、なぜか人を惹きつける男の共通点について書いています。読んでいない方はぜひ!

一流に学ぶ

「色気と着こなし」
(宝島社)

1冊目は、スーツの着こなし術から世界の一流品選びまで、基本的なことやお洒落の本質について書いています。読んでいない方はぜひ!

世界のエリートなら誰でも知っている

「お洒落の本質」
(PHP出版)

【エロサバ】-Hoshipedia

「エロサバ」とは、エロいコンサバの略で、干場の哲学により生まれた造語。シンプルでベーシック、コンサバティブな洋服を着ているのに、なぜかエロく見えるスタイルのこと。例えば喪服の女性。成熟した大人の女性が喪服を着ていて、メイクもナチュラルで抑制しているのに、不思議と色っぽく見えるスタイル。例えば、普通の白いシャツを着ているのにも関わらず、胸元のボタンの開け方や袖口のまくり方でSEXYに見えるスタイル。粗悪な素材でデザインが変わっているシャツでは駄目。上質な素材でベーシックなシャツだからこそ、崩して着こなしても上品さが保てるのです。男性で例えるなら、仕立てられたグレーの無地のスーツを着て、上質な白シャツに黒の無地のネクタイのような極めてコンサバティブなスタイルをしているのに、内側から大人の色気が香るスタイルのこと。



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